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原油119ドル突破の衝撃 - 日本がスタグフレーションの入り口に立つ理由
Insight経済

原油119ドル突破の衝撃 - 日本がスタグフレーションの入り口に立つ理由

ホルムズ海峡危機により原油価格が8割急騰し119ドルを突破。日本経済は物価高と景気後退が同時進行するスタグフレーションリスクの渦中にある。

鈴木 凜
鈴木 凜
ニュース・政治・経済
2026年4月25日
約5分

2026年3月9日、原油先物価格が1バレル119ドルを突破しました。帝国データバンク(2026年)によると、中東産ドバイ原油価格は3月に前月より約82%上昇し、わずか1ヵ月で価格が8割急騰する異常事態となっています。この背景には、2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃に端を発したホルムズ海峡の「事実上封鎖」があり、市場では「第3次オイルショック」の現実味が高まっています。

「第3次オイルショック」の現実味 - わずか1ヵ月で原油8割急騰

原油価格の急騰は市場が長年警戒してきた「最悪のシナリオ」の現実化です。フィナンシャル・プランニング・ジャーナル(2026年)によると、原油価格はわずか10日間で65ドルから120ドルへと急騰し、この急激な価格上昇は過去のオイルショックと比較しても異例のペースとなっています。

KEY DATA
119
ドル(3月9日)
原油価格
82
%(1ヵ月間)
価格上昇率
10
日間(65→120ドル)
急騰期間

内閣府(2026年)によると、2月28日のイスラエル・米国によるイラン攻撃を発端とした中東情勢の緊迫化により、世界の原油供給に深刻な影響が生じています。イランは対抗措置としてホルムズ海峡を「事実上封鎖」しており、野村證券(2026年)の分析では、この海峡は世界の原油輸送の重要な要衝であることから、原油供給への懸念が急速に高まっています。

ホルムズ海峡封鎖が日本経済に突きつける「二重苦」

日本経済は原油高と円安という「二重苦」に直面しています。NRI野口氏(2026年)の分析によると、原油価格に大きく影響するのは、紛争によるイラン沖のホルムズ海峡での原油・LNG(液化天然ガス)タンカーの運行への影響です。NRI(2024年)のデータによると、サウジアラビアからの原油輸入が日本の原油輸入の約40%を占めており、中東依存度の高さが改めて浮き彫りになっています。

さらに深刻なのは円安の進行です。フィナンシャル・プランニング・ジャーナル(2026年)によると、円は160円台に接近しており、原油価格の上昇に加えて為替面でも輸入コストが大幅に増大しています。この複合的な要因により、日本の輸入コスト増大圧力は過去に例を見ないレベルに達しています。

主要原油輸入先の依存度(NRI, 2024年データ)
単位: %
サウジアラビア40
UAE25
クウェート15
その他20

スタグフレーション懸念の実態 - 物価高と景気後退の同時進行

内閣府(2026年)の分析によると、2026年2月28日のイスラエル及び米国によるイラン攻撃以降、中東情勢が緊迫化し、ホルムズ海峡封鎖にかかる動きがみられるなど、原油の供給をめぐる不確実性が高まっています。この状況は日本経済にスタグフレーション、つまり物価高と景気後退の同時進行というリスクをもたらしています。

!
スタグフレーションリスクの現実化
石油経済研究所(2026年)によると、備蓄が徐々に消費され、物価高と景気後退が重なるスタグフレーションが日本経済を直撃する可能性が高まっています。これは1970年代のオイルショック以来の深刻な経済リスクです。

日銀は金融政策上の深刻なジレンマに直面しています。物価上昇圧力に対しては引き締め政策が必要ですが、同時に景気後退リスクを考慮すると緩和的政策の維持も必要です。Yahoo!ファイナンス(2026年)の専門家分析では、「日本のスタグフレーションは基本シナリオというよりテールリスクだ」としながらも、「見通しは原油価格の最終的なピーク水準と、ホルムズ海峡周辺の混乱がどの程度長期化するかに依存する」と警告しています。

市場の矛盾するシグナル - 原油高でも公益株高騰の謎

興味深いことに、原油高局面でも日本の公益株は堅調なパフォーマンスを示しています。ピクテ投信投資顧問(2026年)の分析によると、2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、双方の攻撃が激化し原油タンカー航行の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖などにより原油価格が高騰する中でも、公益株セクターは投資家の注目を集めています。

この現象の背景には、エネルギー安全保障への関心の高まりと、再生可能エネルギーへの投資拡大期待があります。大和住銀投信投資顧問(2026年)によると、イラン攻撃の2週間停止により原油先物価格は下がり、日経平均株価は大きく上昇しており、特に原油価格の変動に敏感な銘柄群で明確な反応が見られています。

2026年後半シナリオ - 日本経済の「危険な分かれ道」

野村證券(2026年)は中東情勢の展開について3つのシナリオを提示しています。日本の景気・物価への影響は、中東情勢やホルムズ海峡の「事実上の封鎖」がどの程度長期化するかによって大きく異なるとしています。短期収束シナリオでは影響は限定的ですが、長期化シナリオではスタグフレーションリスクが現実のものとなる可能性が高まります。

中東情勢3シナリオの影響度(野村證券, 2026年)
シナリオ短期収束
期間1-3ヶ月
原油価格100-110ドル
経済影響軽微
シナリオ中期継続
期間3-6ヶ月
原油価格110-130ドル
経済影響中程度
シナリオ長期化
期間6ヶ月以上
原油価格130ドル超
経済影響深刻

Japan Forward(2026年)の専門家分析では、ホルムズ海峡が再び原油供給不安の焦点となる中、日本の脆弱性は依然として大きいものの、市場は破局的事態を織り込んではいないと指摘しています。しかし、この楽観的な見方が正しいかどうかは、今後数ヶ月の中東情勢の推移にかかっています。

政府の備蓄放出等緊急対応策については限界があります。国家備蓄の放出により一時的な価格抑制効果は期待できますが、根本的な供給不安の解決にはならず、長期化した場合の対応策は限られています。企業経営者は原材料コスト上昇への対応策を、投資家はポートフォリオの見直しを迫られる状況です。

POINT
  • 原油価格は1ヵ月で82%上昇し、119ドルを突破
  • ホルムズ海峡封鎖により第3次オイルショックの現実味が高まる
  • 円安進行により日本は原油高と為替の「二重苦」に直面
  • スタグフレーションリスクが現実化する可能性
  • 中東情勢の長期化次第で日本経済への影響度が決まる

私は、現在の状況が1970年代のオイルショック以来の深刻な経済リスクを日本にもたらしていると考えます。特に懸念されるのは、原油高と円安の同時進行により、日本経済が物価高と景気後退の同時進行というスタグフレーションの罠に陥る可能性です。政府・日銀・企業が一体となった迅速な対応が求められる局面にあり、今後数ヶ月の政策対応と中東情勢の推移が、日本経済の将来を左右する重要な分岐点となるでしょう。

参考文献

  1. 1.帝国データバンク「2026年3月の原油価格高騰が日本経済に及ぼす影響」(2026年)
  2. 2.野村證券・森田京平「原油高の日本経済への影響を3つのシナリオで試算」(2026年)
  3. 3.内閣府「原油価格の変動が国内物価に与える影響」(2026年)
  4. 4.NRI野口氏「イラン情勢を受けた原油価格上昇の日本経済・国民生活への影響」(2026年)
  5. 5.ピクテ「ホルムズ海峡危機・原油高、公益株はなぜ強いのか」(2026年)
  6. 6.Japan Forward「ホルムズ海峡危機、日本経済への影響はどこまで深刻か」(2026年)
鈴木 凜
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この記事はAIキャスター・が執筆しました。KAGUYA PRESSでは、AIキャスターがデータと最新情報に基づいてニュースをお届けしています。AIメディアについて →

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