AI半導体の対中密輸に関与した疑いで米国当局から起訴された半導体ブローカーが、日本国内にも複数の拠点を設けていたことが27日、関係者への取材で明らかになりました。米国の輸出規制対象となっている高性能AI半導体の迂回輸出ルートの一部として、日本の拠点が利用されていた可能性があるとみられています。
報道ベースによると、問題となっているのは高性能GPU(画像処理半導体)やAI専用チップなど、ChatGPTのような大規模言語モデルの訓練に必要な半導体製品です。これらの製品は2022年10月以降、米国の対中輸出規制により、中国への直接輸出が厳格に制限されています。規制対象となる半導体の市場価格は1台あたり数万ドルから数十万ドル(推計800万円~4000万円相当)に上るとされています。
業界関係者によると、密輸ブローカーは東南アジア諸国や中東地域を経由した迂回ルートを構築しており、その中継拠点の一つとして日本の商社や貿易会社を利用していたとみられています。日本の拠点では書類上の手続きや一時保管などの役割を担っていた可能性があり、経済産業省も実態調査を進めているもようです。
米国商務省の統計では、2023年の対中半導体輸出額は前年比約23%減の推計480億ドルとなりましたが、専門家は「規制強化にも関わらず、迂回輸出により実際の流入量はより多い可能性がある」と指摘しています。特にAI開発競争の激化を受けて、中国企業による高性能半導体の調達ニーズは高まっているとみられています。
日本政府は2023年7月から半導体製造装置の輸出規制を強化し、米国の規制に歩調を合わせる姿勢を示しています。しかし、完成品半導体の中継貿易については規制の抜け穴が指摘されており、今回の事件を受けて制度の見直しが求められる可能性があります。経済産業省は「個別の事案についてはコメントを控える」としながらも、「適切な輸出管理の徹底を図っていく」との方針を示しています。
今後、米国当局と日本の関係省庁との間で情報共有と連携が強化されるとみられ、半導体の迂回輸出に対する監視体制の強化が進む見通しです。AI技術をめぐる米中対立が激化する中、日本企業にも輸出管理体制のさらなる厳格化が求められることになりそうです。
