経済産業省は28日、AI(人工知能)、半導体、ロボット産業の連携強化を柱とした新たな産業戦略を発表しました。2040年までに関連産業の売上高を現在の約2倍となる40兆円規模に押し上げることを目標に掲げ、日本の技術競争力向上を図る方針です。
この戦略では、AI技術の進歩に伴う半導体需要の急拡大と、それらを組み込んだロボット産業の成長を一体的に捉えた取り組みを展開します。現在の日本の半導体市場規模は約5兆円、ロボット産業は約1.8兆円とされており、AI関連市場を含めた全体では約20兆円規模と推計されています。
具体的な施策として、産官学連携による研究開発拠点の設置、次世代半導体の国内製造基盤強化、AI搭載ロボットの実用化促進などが盛り込まれています。特に製造業、物流、医療分野でのロボット導入を加速させ、労働力不足の解決と生産性向上を同時に実現する狙いがあります。
背景には、米中の技術覇権争いが激化する中で、日本が技術的優位性を確保する必要性があります。ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、高性能な半導体への需要が世界的に急増しており、2030年までに半導体市場は現在の約1.5倍に拡大するとの予測もあります。
政府は今回の戦略実現に向け、2024年度補正予算と2025年度当初予算で総額約2兆円の関連予算を計上する方針です。このうち約8000億円を半導体製造基盤の整備に、約5000億円をAI研究開発に、残りをロボット産業の育成に充てる計画となっています。
業界関係者からは、三つの技術分野を連携させることで相乗効果が期待できる一方、人材確保や国際競争の激化への対応が課題となるとの指摘も出ています。特に、専門技術者の不足は深刻で、関連分野で必要な人材を2040年までに現在の約3倍となる150万人規模に拡大する必要があるとみられています。
今後は、各省庁や民間企業との連携体制を構築し、具体的なロードマップの策定を進める予定です。日本が技術立国として競争力を維持・向上させるためには、この三位一体戦略の着実な実行が重要な鍵を握ることになりそうです。
