高市首相「プライバシー侵害せず」国家情報会議法案が審議入り
政府のインテリジェンス機能強化を目指す国家情報会議設置法案が国会で審議入りしました。高市首相はプライバシー侵害への懸念に対し「適切な運用を行う」と説明しています。
政府が今国会の重要法案と位置づける国家情報会議設置法案が4月4日、衆議院本会議で審議入りしました。同法案は、内閣官房に新たに「国家情報会議」を設置し、各省庁に分散している情報収集・分析機能を統合することを目的としています。高市早苗首相は審議で「国民のプライバシーを侵害することなく、適切な運用を行う」と強調しました。
国家情報会議は、内閣情報調査室、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部など、現在各省庁で個別に行われている情報活動を横断的に調整する機関として設計されています。会議の議長には内閣官房長官が就任し、関係省庁の局長級以上が参加する予定です。年間予算規模は約150億円程度とみられ、新たに約200人の専門職員を配置する方針です。
法案を巡っては、野党側から「国民監視の強化につながる恐れがある」との批判が出ています。特に、サイバー空間での情報収集活動の範囲や、民間企業との情報共有のあり方について懸念の声が上がっています。これに対し政府は、活動範囲を国家安全保障に関わる情報に限定し、第三者機関による監視体制も設けるとしています。
背景には、近年の安全保障環境の変化があります。中国の軍事的台頭、北朝鮮のミサイル開発、ロシアによるサイバー攻撃など、多様化する脅威に対応するため、政府は情報機能の抜本的強化が急務だと判断しています。現在の日本の情報予算は年間約500億円とされ、米国の約8兆円、英国の約8000億円と比べて大幅に少ないのが実情です。
諸外国では既に類似の機関が設置されており、米国では国家情報長官(DNI)が17の情報機関を統括しています。英国でも統合情報機構(JIC)が各情報機関の調整を行っており、日本も国際標準に合わせた体制整備が求められていました。政府関係者は「情報の縦割りを解消し、総合的な脅威評価を可能にする」と法案の意義を説明しています。
法案は今後、衆議院内閣委員会での詳細な審議を経て、5月中旬にも衆議院を通過する見通しです。参議院での審議も含め、今国会中の成立を目指していますが、野党の反発も予想され、審議の行方が注目されます。成立すれば、2027年度からの本格運用開始を予定しており、日本の情報機能は新たな段階に入ることになります。
