外務省は4月10日、外交青書2026年版を発表しました。同青書では現在の国際情勢について「安定した時代の終焉」と表現し、中国に対する位置づけを従来の表現から「重要な隣国」へと後退させる内容となっています。
青書では中国について、過去数年間使用されてきた協力関係を重視する表現から変更し、より慎重な表現に修正されています。この変更は、南シナ海での軍事活動や台湾海峡周辺での緊張の高まり、経済安全保障上の懸念などが背景にあるとみられます。一方で、経済面では依然として重要なパートナーであることも併せて記載されています。
国際秩序の動揺については、ウクライナ情勢の長期化、中東地域での緊張状態、そしてアジア太平洋地域での安全保障環境の変化などを具体例として挙げています。特に、従来の多国間協調体制が機能不全に陥りつつある現状について詳細に分析されています。
青書ではまた、日本の外交方針として「現実的な外交」の必要性を強調しています。これには、価値観を共有する国々との連携強化、経済安全保障の確保、そして地域の平和と安定への貢献が含まれています。防衛予算についても、2024年度から5年間で総額約43兆円という政府方針に言及し、外交と防衛の両輪による安全保障の重要性を説いています。
日中関係については、2022年の国交正常化50周年以降、政府高官レベルでの対話は継続されているものの、尖閣諸島周辺での中国公船の活動や軍事力の増強などが懸念材料として記載されています。経済面では、2023年の二国間貿易額が約36兆円規模に達するなど、相互依存関係は深いものの、供給網の多様化や技術移転管理の強化なども課題として挙げられています。
今後の日本外交については、G7議長国としての役割を踏まえつつ、ASEAN諸国との関係強化やインド太平洋戦略の推進に注力する方針が示されています。また、気候変動対策や新興技術分野での国際協力についても、外交の重要課題として位置づけられており、変化する国際情勢への対応が求められる状況が続くとみられます。
