中国での入院に伴う医療保険金の支払いが急激に増加していることが、保険業界関係者への取材で明らかになった。この傾向を受けて、金融担当相は保険制度における「公平性が重要」との見解を示し、業界全体での対応策検討の必要性を示唆した。
保険業界の関係者によると、2025年度の中国での医療保険金支払額は前年度と比較して約40%増加したとみられる。特に入院を伴う治療での保険金請求が顕著に増加しており、一部の保険会社では支払い査定の体制強化を進めている状況だという。背景には、中国の医療技術向上と医療費の相対的な安さ、さらに円安の影響で中国での治療を選択する被保険者の増加があるとされる。
この現象は「医療ツーリズム」の一環として捉えられる側面もある。中国では近年、先進的な医療設備と技術を備えた国際病院が増加しており、日本の医療機関と比較して治療費が安価な場合が多い。また、日本国内での医療機関の予約待ちが長期化していることも、海外での治療を選択する要因の一つとなっている。
一方で、保険業界では支払い審査の厳格化も進んでいる。医療保険金の不正請求を防ぐため、海外での治療に関する書類審査を強化する保険会社も現れている。業界関係者は、適正な保険制度の運営のため、海外医療機関との連携強化や審査体制の整備が急務だと指摘している。
金融担当相の「公平性が重要」との発言は、国内で治療を受ける被保険者との間で生じる可能性のある不平等感への配慮を示したものとみられる。保険料負担の公平性や、海外治療に対する保険適用範囲の明確化が今後の課題となる見通しだ。
専門家は、この傾向が今後も続く可能性が高いと分析している。高齢化社会の進展と医療技術のグローバル化により、国境を越えた医療サービスの利用はさらに一般的になると予想される。保険業界では、適正な制度運営と利用者のニーズ両立を図るための新たなガイドライン策定に向けた議論が本格化する見込みだ。
