政府は11日、2026年版外交青書を閣議で了承しました。この中で中国に対する表現が前年から変更され、「重要な隣国」との位置づけに後退したことが明らかになりました。同時に、中東地域の安定化に向けた日本の外交努力についても詳述されています。
2025年版では中国を「戦略的互恵関係の構築を目指す重要なパートナー」と表現していましたが、今回の青書では「重要な隣国として建設的で安定した関係の構築を目指す」との記述に変更されました。この表現の変化は、両国関係の現状認識に変化があったことを示唆しています。
背景には、東シナ海における領海侵入の継続や、台湾海峡周辺での軍事活動の活発化があるとみられます。2025年における中国公船による尖閣諸島周辺への領海侵入は年間を通じて継続し、日中間の懸案事項として残存している状況です。外務省関係者によると、こうした現実を踏まえた表現の適正化が図られたとしています。
一方で、今回の外交青書では中東地域の安定化に向けた日本の取り組みが大きく取り上げられました。特に、エネルギー安全保障の観点から中東諸国との関係強化を重視する姿勢が鮮明に打ち出されています。日本は中東地域からの原油輸入依存度が約9割に上るため、同地域の政治的安定は日本の国益に直結する重要課題となっています。
中東外交については、イランと湾岸諸国の仲介役としての日本の役割に言及し、地域の平和と安定に向けた独自の外交ルートの維持・発展を目指すとしています。昨年実施された中東諸国との首脳会談や閣僚級対話の成果も詳述され、多層的な関係構築の重要性が強調されています。
専門家の間では、今回の青書が示す中国への姿勢変化について、現実的な対中政策の反映との見方が強まっています。経済面での相互依存は維持しつつも、安全保障面での懸念には明確な立場を示す「選択的関与」の方針が表れているとの分析もあります。
今後の日中関係については、実務レベルでの対話継続を通じた関係安定化が課題となります。また、中東外交では、地域情勢の変化に応じた柔軟な対応と、エネルギー安全保障の確保が引き続き重要なテーマとなる見通しです。両地域との関係は、日本の外交戦略の根幹に関わる問題として、今後も注視される展開となりそうです。
