高市早苗首相が推進する情報機関改革について、政府関係者は12日、省庁横断型の新たな情報組織の創設を軸とした改革案の検討が本格化していることを明らかにした。現在、内閣情報調査室、公安調査庁、外務省国際情報統括官組織などに分散している情報機能を統合し、日本の情報収集・分析能力の抜本的な強化を図る方針とみられる。
現在の日本の情報機関は、内閣情報調査室(内調)が国内外の情報収集・分析を担い、公安調査庁が国内の治安情報、外務省が海外情報をそれぞれ所管している。しかし、省庁間の情報共有や連携に課題があるとの指摘が従来から出ており、特に近年の安全保障環境の変化を受けて、より効率的で統合的な情報体制の構築が急務とされてきた。
政府関係者によると、新組織は首相直属の機関として位置づけられ、既存の情報機関から人員を集約する形で発足する構想が検討されている。組織規模は現在の内調の約3倍にあたる1500人規模となる可能性があるとみられる。また、サイバー分野や経済安全保障分野での情報収集・分析機能も大幅に強化される見通しだ。
改革の背景には、中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアによるウクライナ侵攻など、日本を取り巻く安全保障環境の急激な変化がある。政府は2022年12月に策定した国家安全保障戦略において、情報収集・分析能力の強化を重要課題として位置づけており、今回の改革はその具体化と位置づけられる。
一方で、情報機関の統合・強化については、民主的統制の確保や人権保護の観点から慎重な検討が必要との声も上がっている。野党からは「権限の拡大に見合った監視体制の整備が不可欠」との指摘も出ており、国会での議論が注目される。
政府は今後、関係省庁との調整を進め、来年の通常国会への関連法案提出を目指している。ただし、既存組織の統合には省庁間の利害調整が複雑になることが予想され、改革の実現までには相当な時間を要する可能性もある。日本の情報体制がどのように変貌を遂げるか、今後の動向が注目される。
