富士通、AI分野で「第三極」目指す 日本製ハード一体型で経済安保需要取り込みへ
富士通がAI分野で米中に次ぐ第三極を目指すと発表。ハードウェアと一体化した「日本製」AIシステムで経済安全保障への需要拡大を見込む。
富士通が人工知能(AI)分野において、米国と中国に並ぶ「第三極」としての地位確立を目指す戦略を本格化させていることが明らかになりました。同社はハードウェアとソフトウェアを一体化した「日本製」AIシステムの開発・提供により、経済安全保障の観点から高まる需要を取り込む方針です。
現在のAI市場では、米国のOpenAIやGoogle、中国のBaidu(百度)やアリババグループなどが主要プレーヤーとして競争を繰り広げています。一方で、地政学的リスクの高まりを受け、各国政府や企業は自国や信頼できる同盟国の技術への依存を強める傾向にあります。富士通はこうした潮流を捉え、日本発のAI技術基盤の構築を急いでいます。
富士通の戦略の特徴は、同社が長年培ってきたハードウェア技術とAIソフトウェアを一体化させたアプローチにあります。スーパーコンピューター「富岳」の開発で蓄積した高性能計算技術や、独自開発のプロセッサー技術を活用し、処理速度とエネルギー効率の両面で優位性を打ち出す考えです。また、データの暗号化や秘匿計算技術も組み込み、セキュリティ面での差別化も図っています。
経済安全保障の観点では、重要インフラや機密性の高い業務でのAI利用において、信頼性の高い技術プロバイダーへの需要が急速に拡大しています。特に金融機関、電力・通信事業者、政府機関などでは、データの機密性確保と技術の透明性が重視される傾向にあります。富士通は国内での開発・製造体制を強化し、こうした要求に応える体制を構築しています。
国内AI市場は2025年に約1兆円規模に達するとの推計もあり、今後も拡大が見込まれています。富士通はまず国内市場での基盤固めを進めた後、同様の課題を抱える他国への展開も視野に入れています。特にアジア太平洋地域やヨーロッパの一部では、米中以外の選択肢への関心が高まっているとされます。
一方で、AI分野での競争は激化の一途をたどっており、富士通が「第三極」として確固たる地位を築くには相当な投資と時間が必要とみられます。技術開発力の向上に加え、人材確保や国際的なパートナーシップの構築など、多角的な取り組みが求められる中、同社の戦略の実効性が今後注目されます。
