医療機関倒産、20年で最多71件 クリニック・歯科医院の破産97%超
2025年度の医療機関倒産が71件となり、過去20年で最多を記録した。クリニックや歯科医院の淘汰が加速し、破産が97%超を占めている。
2025年度の医療機関倒産件数が71件に達し、過去20年間で最多を記録したことが明らかになりました。特にクリニックや歯科医院などの小規模医療機関の経営破綻が相次いでおり、倒産手続きの97%超が破産によるものとなっています。医療業界では人件費の高騰や光熱費の上昇、患者数の減少などが重なり、経営環境の厳しさが浮き彫りとなっています。
倒産した医療機関の内訳をみると、診療所(クリニック)が全体の約6割を占め、歯科医院が約3割となっています。病床数20床未満の小規模な有床診療所や、開業から10年以内の比較的新しい医療機関での倒産が目立っています。地域別では、都市部よりも地方での倒産件数が多く、地域医療の担い手不足に拍車をかける形となっています。
医療機関の経営悪化の背景には、複数の要因が重なっています。新型コロナウイルス感染症の影響で患者の受診控えが続いたことに加え、物価高騰により光熱費や医療機器のメンテナンス費用が大幅に上昇しました。また、看護師や医療従事者の人件費上昇も経営を圧迫する要因となっています。診療報酬の改定が経営改善に追いついていない現状も指摘されています。
特に深刻なのは地方の医療機関です。人口減少と高齢化が進む地域では、患者数の減少が避けられない一方で、高齢患者の増加により医療の質や安全性への要求は高まっています。設備投資や人材確保のコストは都市部と変わらないため、収支のバランスを保つことが困難になっています。
こうした状況を受け、各自治体では医療機関への支援策を打ち出しています。埼玉県では「医療提供施設等光熱費等高騰対策支援金」を設け、エネルギー価格の上昇分を補助する制度を実施しています。また、医療従事者の処遇改善を目的とした支援金制度も並行して運用されており、医療機関の経営安定化を図っています。
業界関係者は、医療機関の統合・再編が今後さらに進むとみています。単独での経営が困難な小規模医療機関同士の連携や、大手医療法人による買収・運営委託などの動きが活発化する可能性があります。一方で、地域医療の質を維持しながら効率的な運営を実現するための新たなモデル構築が急務となっています。
今後の医療機関経営では、デジタル技術の活用による業務効率化や、予防医療・在宅医療への転換など、従来の診療モデルからの脱却が求められるとみられます。政府も地域医療構想の推進と併せて、持続可能な医療提供体制の構築に向けた支援策の拡充を検討しており、2026年度以降の動向が注目されます。
