川崎重工業は18日、造船業界における深刻な溶接技術者不足の解決策として、四足歩行型のAI搭載造船ロボットの開発に本格着手すると発表しました。同社は2027年度内の実用化を目指し、神戸工場での実証実験を開始する予定です。
開発予定のロボットは、犬型の四足歩行機構を採用し、船舶の複雑な構造内でも自由に移動できる設計となっています。AIによる画像認識技術と溶接技術を組み合わせることで、人間の技術者と同等レベルの精密な溶接作業の実現を目指します。ロボットの全長は約1.2メートル、重量は推計50キログラム程度とみられています。
造船業界では近年、熟練溶接技術者の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっています。日本造船工業会の調査によると、国内造船業界の溶接技術者数は過去10年間で約30%減少しており、特に高度な技術を要する大型船舶の建造において人材確保が困難な状況が続いています。
川崎重工業の造船部門では、現在約800名の溶接技術者が従事していますが、このうち50歳以上が全体の約60%を占めているとされます。同社では今回のAIロボット導入により、将来的に溶接作業の約40%の自動化を目標としています。
技術的な特徴として、開発中のロボットには3Dレーザースキャナーと高精度カメラが搭載され、溶接箇所の形状や材質を自動判別する機能を持ちます。また、船体内部の狭小部や高所での作業も可能な設計となっており、これまで人間の技術者にとって危険だった作業環境での活用も期待されています。
国内造船業界では他社でも自動化技術の導入が進んでおり、三菱重工業やジャパンマリンユナイテッドでも類似の技術開発が行われています。しかし、四足歩行型のロボットを造船に本格導入する試みは川崎重工業が初の取り組みとなります。
業界関係者からは、技術面での期待と同時に、導入コストや既存の作業工程との整合性について慎重な見方も示されています。川崎重工業では今後、実証実験の結果を踏まえながら量産体制の構築を検討し、将来的には他の造船会社への技術供与も視野に入れているとしています。日本の造船業界の競争力強化と技術者不足解決の切り札として、その実用化が注目されています。
