柔道整復施術所、窓口負担なしで利用可能に
柔道整復施術所での治療が窓口負担なしで受けられる制度が開始される。保険制度の拡充により、国民の医療アクセス向上が期待される。
厚生労働省は24日、柔道整復施術所での治療について、患者の窓口負担を無償化する制度を4月1日から開始すると発表した。これまで患者が負担していた治療費の自己負担分について、保険制度の拡充により実質的に無料で施術を受けることが可能となる。
新制度では、急性の外傷(骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷)に対する柔道整復師による施術が対象となる。全国約3万2000カ所の柔道整復施術所で適用され、年間約1200万人の利用者が恩恵を受ける見込みだ。従来は治療費の1~3割を患者が自己負担していたが、この負担がなくなることで、1回あたり平均1500円程度の費用軽減効果が期待される。
背景には、高齢化社会の進展と医療費負担の軽減を求める声の高まりがある。2025年時点で65歳以上の高齢者人口は約3700万人に達し、運動器系の疾患による医療機関受診が増加傾向にある。柔道整復師による施術は、整形外科での治療と比較して待ち時間が短く、地域密着型の医療サービスとして重要な役割を担っている。
制度導入に向けて、政府は2026年度予算に約420億円を計上した。財源については、既存の医療保険制度の枠組みを活用し、国庫負担と保険料収入で賄う方針だ。日本柔道整復師会の田中会長は「国民の健康維持に貢献できる重要な制度改正」とコメントしている。
一方で、制度の適正利用に向けた取り組みも強化される。施術の必要性について厳格な審査体制を構築し、不適切な請求を防止するため、電子レセプト審査システムの導入も同時に進められる。また、患者に対しては施術内容の説明責任を強化し、透明性の高い医療サービスの提供を目指す。
専門家からは、制度の効果に期待する声がある一方、医療費全体の増加を懸念する意見もある。東京医科大学の山田教授(医療経済学)は「適切な利用が促進されれば、予防医学の観点からも意義深い制度」と評価している。今後は制度の運用状況を注視し、必要に応じて見直しを行う予定だ。
新制度の開始により、国民がより身近で気軽に専門的な治療を受けられる環境が整うことが期待される。厚生労働省は制度の周知徹底を図るとともに、2027年度以降の制度拡充についても検討を進める方針を示している。