医療・介護施設の賃上げ支援事業を拡充、物価高騰対策で総額2400億円
政府は2026年度、医療機関や介護施設における賃上げと物価上昇への対応を支援する新たなパッケージを発表した。総額2400億円規模の支援により、医療・介護従事者の処遇改善を図る。
厚生労働省は24日、医療機関や介護施設における賃上げ・物価上昇に対する支援事業として「医療・介護等支援パッケージ」の詳細を発表した。2026年度予算として総額2400億円を計上し、医療・介護従事者の処遇改善と事業継続を支援する包括的な施策となる。
同パッケージの柱となるのは、医療従事者の賃上げ支援制度で、病院勤務医や看護師、薬剤師などを対象に月額最大3万円の賃上げ原資を補助する。対象となる医療機関は全国約8400施設で、推計約180万人の医療従事者が恩恵を受ける見込みだ。介護分野では、介護職員の処遇改善加算を拡充し、月額平均2万5000円の賃上げを目指す。
物価高騰対策としては、医療機関の光熱費や医療材料費の上昇分について、診療報酬とは別枠で補助金を支給する。具体的には、病床数100床以上の病院で年間最大500万円、診療所では最大200万円を上限として支援する。薬価改定の影響を受けやすい高額医療機器についても、リース料補助制度を新設する。
背景には、2024年以降の継続的な物価上昇と人手不足の深刻化がある。日本医師会の調査によると、2025年度に経営悪化を報告した医療機関は全体の63%に達し、特に中小規模の病院や診療所で厳しい状況が続いている。介護分野でも有効求人倍率が3.8倍と高水準で推移しており、処遇改善による人材確保が急務となっている。
申請手続きは4月1日から開始され、都道府県を通じて各医療機関・介護施設が申請する仕組みとなる。支援金の交付は6月から順次実施される予定で、賃上げ支援については2026年4月分の給与から適用される。厚労省では「医療・介護提供体制の持続可能性を確保し、質の高いサービス提供を維持していく」としている。
今回の支援パッケージは2026年度限りの措置とされているが、政府内では恒常的な処遇改善制度への移行も検討されている。2027年度以降は診療報酬・介護報酬改定での対応が想定されており、医療・介護分野の構造的な課題解決に向けた議論が本格化する見通しだ。