タイのアヌティン・チャーンウィーラクル副首相兼保健相は28日、新政権を来週発足させると表明しました。同氏は中道政党「プーム・ジャイ・タイ党」の党首を務めており、次期首相への就任が有力視されています。
タイでは昨年の総選挙後、政権樹立に向けた政党間の調整が長期化していました。最大政党の「前進党」が軍政派政党との連立を拒否したことで、政治的空白状態が約8カ月間続いていたとされます。今回の新政権発足により、この政治的混乱にようやく終止符が打たれる見通しです。
アヌティン氏率いるプーム・ジャイ・タイ党は下院定数500議席中71議席を獲得しており、第3党の地位にあります。新政権では軍政派の「国民国家の力党」(58議席)や「パラン・プラチャーラット党」(40議席)などとの連立が想定されており、合計で過半数を上回る約300議席規模の政権となる可能性が高いとみられます。
アヌティン氏は医療関連企業を経営する実業家出身で、新型コロナウイルス対策を担当した保健相として国民の支持を得てきました。政治的には中道的な立場を取りつつ、経済政策では親ビジネス的な姿勢を示しています。今回の首相就任により、タイの政治は軍政色の強い政権から、より民間寄りの政権へと転換することが予想されます。
タイ経済は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだ後、観光業の回復などにより持ち直しつつありますが、インフレ率は依然として3.2%(2月時点、報道ベース)と高水準にあります。新政権には経済政策の立て直しと、格差拡大などの社会問題への対応が求められています。
今後、新政権は来週中にも正式に発足し、閣僚人事や政策方針の詳細が明らかになる見込みです。特に外交政策では、中国との関係強化を進めてきた前政権からの変化があるか注目されており、米国や日本などとのバランス外交がどのように展開されるかが焦点となりそうです。
