高市早苗首相は29日の衆院委員会で、在外投票について「十分に考慮した」と答弁した際、委員会室にざわめきが起こった。この発言は、海外在住の日本人有権者の投票環境に関する質疑の中で出されたもので、野党議員からの追及が続いている。
在外投票制度は2000年に導入されたが、これまで対象は国政選挙に限定されており、地方選挙への参加は認められていない。外務省の統計によると、2024年時点で在外選挙人名簿に登録されている有権者数は約11万人とされているが、実際の投票率は国内選挙と比較して低い水準にとどまっている。
委員会では、在外投票所の設置数や投票期間の制約について議論が集中した。現在、在外投票は各国の日本総領事館等で実施されているが、投票期間が限定的であることや、遠隔地に住む邦人にとってアクセスが困難であることが課題として指摘されている。
政府は近年、デジタル技術を活用した投票システムの検討を進めているとされるが、セキュリティ面での課題や法的整備の必要性から、導入時期は未定となっている。総務省関係者は、在外投票の利便性向上について「様々な選択肢を検討中」としている。
野党側は、在外邦人の政治参加権の拡充を求めており、特に地方選挙への参加権付与や投票方法の多様化を主張している。一方で、選挙の公正性確保や技術的課題の解決が前提条件となるとの見方が専門家の間では多い。
今後、在外投票制度の改善に向けた具体的な検討が進む可能性があるが、法制度の変更には時間を要するとみられる。海外在住邦人の投票環境改善は、国際化が進む中で重要な政治課題の一つとして注目を集めそうだ。
