高松地方裁判所は1日、受刑者の選挙権を制限している現行の公職選挙法について、憲法に違反するとの判決を言い渡しました。裁判所は、受刑者であることを理由とした選挙権の制限に「合理的根拠がない」と判断し、憲法第14条の法の下の平等に反すると結論付けました。
現行の公職選挙法第11条第1項第2号では、禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者について選挙権を停止すると規定されています。この規定により、全国の刑事施設に収容されている受刑者約4万8000人(2025年末時点の法務省統計)が選挙権を行使できない状況が続いていました。
判決では、選挙権は民主主義の根幹をなす基本的人権であると位置付けた上で、これを制限するためには極めて重要な公共の利益が必要だと指摘しました。しかし、受刑者の選挙権制限について、そうした利益を見出すことは困難であると判断されました。
この問題をめぐっては、国際的にも議論が分かれています。欧州人権裁判所は2005年、英国の受刑者選挙権制限を人権侵害と判断した経緯があります。一方で、アメリカでは重罪者の選挙権制限を維持している州が多数を占めるなど、各国で対応が異なっているのが現状です。
法務省は過去の国会答弁で、受刑者の選挙権制限について「社会復帰への動機付け」や「刑罰としての性格」を理由として挙げてきました。しかし、近年は刑事司法制度の専門家から、こうした理由付けに疑問の声が上がっていました。
今回の判決を受けて、政府は控訴するかどうかの検討に入るとみられます。もし判決が確定した場合、公職選挙法の改正や、刑事施設における投票環境の整備など、制度面での大幅な見直しが必要になる可能性があります。受刑者の基本的人権をめぐる今回の司法判断は、今後の刑事司法制度のあり方に大きな影響を与えることが予想されます。
