東北大とソフトバンク、防災特化の生成AI開発で共同研究開始
東北大学とソフトバンクが防災分野に特化した生成AI開発に向けた共同研究を開始。デジタル技術を活用した持続的な災害伝承の実現を目指す。
東北大学とソフトバンクは2026年4月3日、防災分野に特化した生成AI(人工知能)の開発に向けた共同研究を開始すると発表しました。この取り組みは、デジタル技術を活用して災害の教訓や経験を持続的に伝承していくことを目的としており、日本の防災技術における新たな展開として注目されています。
今回の共同研究では、東北大学災害科学国際研究所が持つ災害研究の知見と、ソフトバンクのAI技術・クラウドインフラを組み合わせることで、防災に関する情報の効率的な収集、分析、発信を可能にする生成AIシステムの構築を目指します。特に、過去の災害データや被災者の体験談を学習データとして活用し、より実用的で信頼性の高い防災情報の提供を実現する予定です。
日本では近年、自然災害の頻発化・激甚化が深刻な問題となっており、内閣府の推計によると2023年の自然災害による経済損失は約2兆円に達したとされています。また、東日本大震災から15年が経過し、災害体験者の高齢化や記憶の風化が課題となる中、デジタル技術を活用した新たな災害伝承手法への期待が高まっています。
開発される生成AIシステムは、災害発生時の避難行動支援、防災教育コンテンツの自動生成、地域特性に応じた防災計画の策定支援など、多岐にわたる用途での活用が想定されています。業界関係者によると、従来の静的な防災マニュアルと異なり、リアルタイムの気象データや地域の状況を踏まえた動的な情報提供が可能になるとみられています。
防災分野でのAI活用については、国内外で研究開発が活発化しており、米国では連邦緊急事態管理庁(FEMA)がAIを活用した災害対応システムの導入を進めています。国内でも政府が2025年に策定したデジタル防災戦略において、AI技術の積極的な活用方針が示されており、今回の共同研究もこうした流れに沿った取り組みといえます。
研究期間は3年間を予定しており、初年度は基盤技術の開発とプロトタイプの構築、2年目以降は実証実験と実用化に向けた検証を行う計画です。専門家からは、この取り組みが成功すれば、日本の防災技術の国際競争力向上にも寄与する可能性があるとの指摘もあります。
今後、両者は自治体や防災関連機関との連携も視野に入れながら、実用的な防災AIシステムの社会実装を目指すとしています。デジタル技術を活用した新たな災害伝承のモデルケースとして、この共同研究の成果が日本全国の防災力向上に貢献することが期待されます。
