2026年春に予定されているハンガリーの総選挙が、欧州連合(EU)内での同国の立ち位置を大きく左右する可能性が高まっています。現在のオルバン・ヴィクトル首相率いるフィデス党政権は2010年から継続しており、16年間の長期政権となる見通しです。この選挙結果次第では、EUとハンガリーの関係に転換点が訪れる可能性があります。
現政権下でのハンガリーとEUの関係は、複数の分野で対立が深刻化しています。特に司法制度の独立性、報道の自由、LGBTQ+の権利に関する問題で、EUはハンガリーに対し強い懸念を表明してきました。この結果、EU予算の一部執行が停止されるなど、具体的な制裁措置も発動されています。復興基金についても、約100億ユーロ規模の資金がペンディング状態となっています。
野党陣営は前回2022年の総選挙で統一候補を擁立したものの、得票率で約35%にとどまり、議席数では大幅に劣勢となりました。しかし、世論調査機関による最新の調査では、与野党の支持率差が縮小傾向にあることが示されています。都市部を中心に政権交代を求める声が高まっており、特に首都ブダペストでは野党系候補が優勢を維持している選挙区が複数あります。
選挙制度の特徴も重要な要素となります。ハンガリーでは比例代表制と小選挙区制を組み合わせた混合制が採用されており、全199議席のうち106議席が小選挙区、93議席が比例代表で選出されます。政権交代を実現するには、野党が統一候補を擁立し、小選挙区で多数の議席を獲得することが不可欠とされています。
経済面では、インフレ率の高止まりやエネルギー価格の上昇が有権者の関心事となっています。政府は家計向けの電気・ガス料金補助制度を継続していますが、財政負担の増大が課題となっています。また、ロシアへのエネルギー依存度の高さも、安全保障の観点から議論の対象となっています。
もし政権交代が実現した場合、新政権はEUとの関係修復を最優先課題に掲げる可能性が高いとみられます。停止されている復興基金の受け取りや、法の支配メカニズムに基づく制裁解除に向けた取り組みが期待されます。一方、現政権が継続した場合でも、EUからの圧力を受けて一定の政策修正を行う可能性も指摘されています。今後数か月間の政治動向と世論の変化が、選挙結果を左右する重要な要因となりそうです。
