東京都は4月から、都職員約6万人を対象に生成AI「A1(えいいち)」の利活用を本格開始しました。これは都道府県レベルでは最大規模の生成AI導入事例となり、行政業務の効率化とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を図る取り組みです。
A1システムは、文書作成支援、データ分析、質疑応答対応などの業務に活用される予定です。都では昨年から一部部署での試験運用を実施しており、業務効率の向上や職員の負担軽減に一定の効果が確認されたため、全庁規模での展開に踏み切りました。対象となる職員数は約6万人で、本庁舎をはじめ各局・各事業所に配置された職員が利用できます。
システムの導入により期待される効果として、定型的な文書作成業務の時間短縮、市民からの問い合わせ対応の迅速化、政策立案における資料作成の効率化などが挙げられています。また、都では職員向けの研修プログラムも並行して実施し、AIツールの適切な活用方法についての理解促進を図っています。
一方で、個人情報保護やセキュリティ面での課題も指摘されています。都では独自のガイドラインを策定し、機密性の高い情報の取り扱いルールを明確化するとともに、システムへのアクセス権限を適切に管理する体制を整備しています。また、AI生成コンテンツの品質管理についても、人的チェックを組み合わせた運用体制を構築しています。
他の自治体でも生成AIの活用に注目が集まっており、横浜市や大阪府などでも類似の取り組みが検討されています。総務省の調査によると、2026年度中に生成AIの導入を検討している自治体は全体の約4割に上るとされており、今回の東京都の取り組みは他自治体のモデルケースとなる可能性があります。
東京都では今後、利用状況や効果を定期的に検証し、システムの改善を図っていく方針です。また、市民サービスの向上につながる新たな活用方法についても継続的に検討を進める予定で、行政におけるAI活用の先進事例として全国から注目を集めそうです。民間企業での生成AI活用が進む中、公共部門でも本格的なAI時代の到来を告げる象徴的な取り組みといえるでしょう。
