ラピダス、先端AI半導体生産を本格化 富士通から受託で国産体制強化
次世代半導体製造会社ラピダスが、富士通からAI半導体の生産を受託することが明らかになりました。IBMのフィジカルAI向け半導体試作も含め、総額2千億円規模のプロジェクトが始動します。
次世代半導体の国産化を目指すラピダスが、先端AI半導体の生産体制を本格化させることが2026年4月11日、明らかになりました。同社は富士通から先端AI半導体の生産を受託するとともに、IBMと連携したフィジカルAI向け半導体の試作プロジェクトを新たに開始します。これらの民間プロジェクトは総額2千億円規模に達するとみられています。
ラピダスは2022年に設立された次世代半導体製造会社で、トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTなど日本の主要企業8社が出資しています。同社は北海道千歳市に建設中の新工場で、2027年の量産開始を目標に2ナノメートル世代の最先端半導体製造を計画しており、今回の富士通からの受託はその具体的な実現に向けた重要なステップとなります。
富士通からの受託案件では、AI処理に特化した高性能半導体の製造が予定されています。近年のAIブームにより、データセンターや企業のAIシステムで使用される半導体需要が急増しており、特に高い処理能力を持つ先端半導体の需要は世界的に拡大しています。現在、このような先端AI半導体の製造は台湾のTSMCが世界シェアの大部分を占めており、日本企業の多くも海外製造に依存している状況です。
一方、IBMとの連携プロジェクトでは、フィジカルAI向けの半導体試作を手がけます。フィジカルAIとは、ロボットや自動運転車など物理的な世界で動作するAIシステムのことで、リアルタイムでの高速処理が求められる分野です。IBMは量子コンピューティングやAI技術で世界をリードする企業の一つで、同社との技術連携により、ラピダスは最先端の半導体設計・製造ノウハウを獲得することが期待されています。
業界関係者によると、これらのプロジェクトを含む民間案件は新たに3件が追加され、総額は2千億円規模に達する見通しです。この規模は、ラピダスが当初計画していた投資額を大幅に上回るもので、日本の半導体産業復活に向けた本格的な取り組みを象徴するものとなっています。政府も経済安全保障の観点から半導体の国産化を重要政策と位置づけており、ラピダスへの支援を継続する方針を示しています。
半導体製造には巨額の設備投資と高度な技術が必要で、特に2ナノメートル世代の製造は世界でも限られた企業しか手がけていません。ラピダスは米国のIBMやベルギーの研究機関imecとの技術提携を通じて、製造技術の確立を進めていますが、量産化に向けては技術的な課題も多く残されているとされます。
今回の富士通からの受託やIBMとの連携強化により、ラピダスは具体的な製造案件を通じて技術力の向上と事業基盤の確立を図ることができるとみられます。AI半導体市場は今後も成長が見込まれており、国産半導体製造体制の構築は日本の産業競争力維持において重要な意味を持つものと期待されています。
