ラピダス、IBMのフィジカルAI半導体試作へ 総額2千億円規模のプロジェクト始動
半導体製造のラピダスが、IBMのフィジカルAI向け半導体の試作を開始することが明らかになった。民間プロジェクト3件で総額2千億円規模の大型投資となる。
半導体製造を手がけるラピダス株式会社が、IBMと共同でフィジカルAI向け半導体の試作に着手することが11日、明らかになりました。この取り組みは新たな民間プロジェクト3件の一環として進められ、総投資額は2千億円規模に達する見込みです。
フィジカルAIは、デジタル空間と物理空間を融合させた人工知能技術で、製造業や物流業界での活用が期待されています。従来のクラウドベースのAI処理とは異なり、現場での即座な判断や制御が可能となるため、自律走行車両や産業用ロボット、スマートファクトリーなどの分野で需要が急速に拡大しています。
ラピダスは2022年に設立された日本の半導体製造企業で、2ナノメートル世代の最先端半導体の量産を目指しています。北海道千歳市に建設中の工場では、2027年の量産開始を目標に準備を進めており、今回のIBMとの協業により、フィジカルAI分野での技術優位性確立を狙います。
今回の2千億円規模のプロジェクトには、フィジカルAI半導体の試作以外にも、関連する製造装置の導入や研究開発施設の拡充が含まれるとみられます。これにより、ラピダスは単純な受託製造からより高付加価値なソリューション提供企業への転換を図る考えです。
フィジカルAI市場は2030年までに世界で10兆円規模に成長すると推計されており、特にエッジコンピューティング向けの高性能チップの需要が拡大しています。現在この分野では台湾や韓国の企業が先行していますが、ラピダスとIBMの協業により日本勢の巻き返しが期待されます。
業界関係者によると、フィジカルAI向け半導体は従来のデジタル処理用チップとは異なる設計思想が求められ、リアルタイム処理能力と低消費電力を両立させる技術が重要になるといいます。ラピダスが持つ先端製造技術とIBMの設計ノウハウの融合により、競争力のある製品開発が可能になるとの見方が強まっています。
今後ラピダスは、2025年末までに試作品の完成を目指すとともに、2027年の量産開始に向けて製造体制の整備を加速させる方針です。フィジカルAI市場の成長とともに、日本の半導体産業復活の重要な一歩として注目が集まりそうです。
