医療機関倒産、25年度は過去20年で最多71件
東京商工リサーチの調査により、2025年度の医療機関倒産が過去20年間で最多の71件に達したことが明らかになりました。人手不足や経営環境の悪化が主な要因とされています。
東京商工リサーチが14日発表した調査結果によると、2025年度(2025年4月~2026年3月)の医療機関倒産件数が71件となり、過去20年間で最多を記録したことが分かりました。前年度の58件から22.4%増加し、医療業界の経営環境の厳しさが浮き彫りとなっています。
倒産した医療機関の内訳を見ると、一般診療所が最も多く42件(59.2%)を占めました。次いで歯科診療所が18件(25.4%)、病院が8件(11.3%)、その他の医療関連施設が3件(4.2%)となっています。特に個人経営や小規模な医療機関での倒産が目立っており、経営基盤の脆弱性が課題として浮上しています。
倒産の主な要因として、深刻な人手不足が挙げられています。医師や看護師、医療技術者の確保が困難になっており、人件費の上昇も経営を圧迫しています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で患者数が減少した医療機関も多く、収益の悪化が長期化していることも影響しているとみられます。
地域別では、東京都が12件で最多となり、大阪府が8件、神奈川県と愛知県がそれぞれ6件で続きました。都市部での競争激化や賃料などの固定費負担の重さが、倒産増加の一因となっている可能性があります。一方で、地方においても高齢化の進展と人口減少により患者数が減少し、経営が困難になるケースが増加していることが報告されています。
負債総額は1件当たり平均約1億3000万円となっており、前年度の平均1億1500万円から増加しています。医療機器の導入や施設改修に伴う借入金の返済が困難になったケースや、運転資金の調達に行き詰まったケースが多く見られました。
医療業界の専門家は、診療報酬の改定や医療制度改革の影響も無視できないと指摘しています。特に、効率的な医療提供を求める政策の下で、小規模な医療機関の経営環境は一層厳しくなっているとの見方があります。また、デジタル化への対応やIT投資の必要性も、経営負担として重くのしかかっているとみられます。
今後の見通しについて、業界関係者は慎重な見方を示しています。人手不足の解消には時間がかかることや、医療費抑制政策が継続される可能性があることから、2026年度も厳しい経営環境が続くと予想されています。一方で、医療機関の統合・再編や、地域医療連携の強化により効率化を図る動きも活発化しており、業界全体の構造変化が進む可能性があります。
