川崎重工、四足歩行のAI造船ロボット開発へ 溶接技術者不足で対策
川崎重工業が造船業界の深刻な技術者不足対策として、四足歩行型のAI搭載造船ロボットの開発に乗り出すことが明らかになりました。
川崎重工業は18日、造船業界で深刻化する溶接技術者不足に対応するため、四足歩行型のAI搭載造船ロボットの開発に着手すると発表しました。同社は2027年度の実用化を目指し、船舶建造の自動化を大幅に進める計画です。
開発予定のロボットは、犬型ロボットのような四足歩行機構を採用し、船内の狭い空間や階段、傾斜した場所でも移動できる設計となります。AIによる画像認識技術を組み合わせることで、溶接箇所の自動判定や品質管理も可能にするとみられます。同社では、従来の固定式溶接ロボットでは対応が困難だった複雑な船体構造への適用を想定しています。
造船業界では、熟練溶接技術者の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっています。国土交通省の調査によると、造船業従事者数は2000年の約8万人から2025年には約5万人まで減少する見込みで、特に溶接技術者の確保が急務となっています。また、造船工程の約30%を占める溶接作業の自動化は、生産性向上の鍵を握る分野として注目されています。
川崎重工業の造船部門では、すでに一部工程でロボット化を進めていますが、複雑な船体構造や多様な溶接箇所への対応が課題となっていました。新開発の四足歩行ロボットは、これらの制約を解決する革新的なソリューションとして期待されています。同社では、ロボット1台で熟練技術者2~3人分の作業量をカバーできる性能を目標としています。
技術面では、Boston DynamicsのSpotに代表される四足歩行ロボットの商用化が進む中、造船特有の環境に適応した専用機の開発が焦点となります。船舶建造現場では、火花や高温環境での耐久性、精密な溶接品質の確保が求められるため、産業用途向けの特別な設計が必要とされています。
国内造船業界では、今治造船やJMUなども自動化技術の導入を積極化しており、技術競争が激化しています。韓国や中国の造船大手も同様の取り組みを進める中、日本の造船業界にとって技術革新による競争力強化は急務となっています。
川崎重工業では、まず自社の坂出工場での実証実験を経て、段階的に他の造船所への展開を図る予定です。将来的には、他の造船会社へのライセンス供与や、海外市場への技術輸出も視野に入れており、造船業界全体のデジタル化を牽引する役割が期待されています。
