財務省は28日、高齢者医療制度の見直しに関する提言を公表し、現在1割または2割となっている75歳以上の後期高齢者医療費の自己負担割合について、3割負担を原則とする方針を打ち出しました。急速な高齢化の進展により増大する医療費の適正化と、現役世代の保険料負担軽減を図る狙いがあります。
現行制度では、75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担は原則1割で、一定の所得がある場合に2割または3割となっています。厚生労働省の統計によると、2024年度時点で後期高齢者医療制度の被保険者約1,900万人のうち、3割負担の対象者は約7%にとどまっています。残りの約93%が1割または2割負担となっており、医療費の大部分を現役世代の保険料と公費で賄っている状況です。
提言では、世代間の負担公平化を重視する観点から段階的な制度変更を想定しています。具体的な実施時期や所得制限の詳細については今後の検討課題とされていますが、財務省は医療費抑制効果と現役世代の負担軽減を両立できるとしています。また、低所得者への配慮措置についても併せて検討する方針を示しています。
医療費をめぐる財政状況は年々厳しさを増しており、2024年度の国民医療費は推計で約47兆円に達しています。このうち後期高齢者医療費は約18兆円を占め、全体の約4割に相当します。現役世代の人口減少が進む中、現行制度のまま推移すると、2030年代には現役世代1人当たりの保険料負担がさらに重くなることが予想されています。
一方、高齢者団体からは反発の声も上がることが予想されます。医療費負担の増加により、必要な医療を受けにくくなる高齢者が増える懸念や、年金受給額が限られる中での家計圧迫への不安が指摘されています。専門家からは、負担増と同時に予防医療の充実や医療の効率化を進める必要があるとの意見も出ています。
今回の提言を受けて、厚生労働省は社会保障審議会などでの議論を本格化させる見込みです。制度変更には国会での法改正が必要となるため、実際の導入までには数年程度の期間を要するとみられます。持続可能な医療制度の構築に向けて、国民的な議論の深まりが期待される一方、高齢者と現役世代双方が納得できる制度設計が重要な課題となりそうです。
