高市首相が2日に予定している演説で、ベトナムとのサプライチェーン強化と安全保障連携の拡大を表明する方針であることが1日、関係者への取材で分かりました。演説案によると、両国間の経済・安保協力を一層深化させ、地域の安定と繁栄に向けた連携を強化するとしています。
演説では、ベトナムを重要製造業のサプライチェーンにおけるキーパートナーと位置づけ、半導体関連産業や電子部品製造分野での協力拡大を打ち出す見通しです。特に、中国への過度な依存からの脱却を図る「経済安全保障」の観点から、ベトナムとの関係強化が重要な戦略となっています。
安全保障面では、南シナ海における航行の自由確保や、サイバーセキュリティ分野での情報共有体制の構築などが盛り込まれる予定です。また、災害時の相互支援体制の整備や、人道支援活動での連携強化についても言及される見込みです。
日本とベトナムの貿易額は近年急速に拡大しており、2025年の二国間貿易額は推計で約450億ドルに達したとみられています。ベトナムは既に日本の主要な投資先国の一つとなっており、製造業を中心に約1,900社の日系企業が進出しているとされます。
政府関係者によると、今回の方針表明は、中東情勢の不安定化を受けたエネルギー安全保障の強化と併せて、アジア太平洋地域における日本の外交戦略の柱の一つとして位置づけられています。経済界からも、東南アジア諸国との関係深化を求める声が高まっていることが背景にあります。
今後、両国政府間での具体的な協力枠組みの策定作業が本格化するとみられ、年内には包括的経済連携協定の改定交渉や、新たな安全保障協力に関する覚書の締結に向けた協議が開始される可能性があります。地域の安定と日本の経済安全保障にとって、ベトナムとの関係強化がどこまで効果を発揮するかが注目されます。
