高市早苗首相は2日午前、ベトナムと豪州への歴訪のため羽田空港から政府専用機で出発しました。今回の歴訪は約1週間の日程で行われ、両国との経済安全保障分野での連携強化を主な目的としています。首相の東南アジア・オセアニア地域への外遊は就任後初めてとなります。
最初の訪問国であるベトナムでは、3日にハノイでベトナム共産党書記長および首相との会談が予定されています。会談では、半導体や重要鉱物のサプライチェーン強化、デジタル技術協力、インフラ投資などが主要議題となる見通しです。また、メコン川流域開発への日本の協力拡大についても協議される予定です。
続いて訪問する豪州では、5日にキャンベラで豪州首相との首脳会談を行います。両国は2022年に締結した日豪円滑化協定に基づく防衛協力の進展や、クリティカルミネラル分野での戦略的パートナーシップ構築が焦点となります。特に、電気自動車用バッテリーに不可欠なリチウムやレアアースの安定調達に向けた協力体制の強化が期待されています。
経済安全保障の観点から、日本は特定国への過度な依存を避けるため、サプライチェーンの多様化を急いでいます。ベトナムは製造業の重要な拠点として、豪州は資源供給国として、それぞれ日本の経済安保戦略において重要な位置を占めています。政府関係者によると、今回の歴訪では具体的な協力プロジェクトの合意文書への署名も検討されているとのことです。
また、地域の安全保障情勢についても議題に上る見込みです。南シナ海をめぐる緊張や台湾海峡情勢を踏まえ、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携を確認するとみられます。ASEAN諸国や豪州との多層的な協力体制の構築は、日本の外交戦略の重要な柱となっています。
高市首相は帰国後、今回の成果を踏まえて経済安保推進法の改正や新たな国際協力枠組みの創設を検討する方針です。特に重要技術の研究開発や人材育成での国際連携強化により、日本の技術的優位性と経済安全保障の両立を目指す考えです。今回の歴訪が、変化する国際情勢の中で日本の戦略的地位向上にどのような効果をもたらすか注目されます。
