消費者庁が定める「消費者月間」が5月1日から全国で始まった。消費者の利益の擁護および増進に関する総合的な施策の推進を図るため、毎年5月を消費者月間として位置づけており、今年で58回目を迎える。
消費者庁によると、2025年の特殊詐欺被害額は推計で約320億円に上り、依然として高い水準で推移している。特にインターネット通販での偽サイトや投資詐欺、サブスクリプション契約のトラブルが増加傾向にある。60歳以上の高齢者が被害者の約7割を占める一方で、20代から40代のデジタルネイティブ世代でも被害が拡大しているとみられる。
今年の消費者月間では「デジタル時代の賢い消費者」をテーマに掲げ、全国の消費生活センターや自治体が連携して啓発活動を実施する。主な取り組みとして、ショッピングモールでの街頭キャンペーン、高齢者向けの出前講座、学校での消費者教育の拡充などが予定されている。
消費生活相談の現場では、AI技術を悪用した新たな詐欺手口も報告されている。音声合成技術を使った「なりすまし電話」や、偽の投資アプリによる被害相談が増加している。消費者庁では、このような最新の手口についても注意喚起を行うとしている。
全国の消費生活センターでは、消費者月間中に相談受付時間の延長や土日相談の実施など、相談体制の拡充を図る。また、多言語対応の強化により、外国人住民への啓発活動にも力を入れる予定だ。消費者ホットライン「188」の利用促進も重点的に進める。
消費者被害の未然防止には、消費者一人ひとりの意識向上が欠かせない。関係者は、少しでも怪しいと感じた場合は一人で判断せず、家族や消費生活センターに相談することの重要性を訴えている。今後も消費者教育の充実と相談体制の強化により、安全で安心な消費生活の実現を目指すとしている。
