朝日新聞社が実施した世論調査で、首相の衆議院解散権について「制限を設けた方がよい」と答えた人が54%に上ったことが分かりました。「いまのままでよい」と答えた人は41%で、解散権の制限を求める声が上回る結果となりました。
調査は4月下旬に実施されたとみられ、憲法改正論議の中でも注目される首相の解散権について、国民の意識が明らかになりました。現在の憲法では、首相は衆議院の解散を天皇に助言することができ、事実上の解散決定権を持っています。この権限について、政治的に都合の良いタイミングで解散が行われるとの批判も根強くありました。
解散権の制限を支持する理由として、政権の都合による「大義なき解散」への懸念が背景にあるとみられます。過去の解散事例では、政権支持率が高い時期や野党が準備不足の状況を狙った解散が行われたとの指摘もありました。一方で、現状維持を支持する層からは、政権の機動性確保や政治的決断の迅速化の観点から、現行制度の意義を評価する声もあります。
諸外国では解散権に一定の制限を設けている例もあります。ドイツでは連邦議会の解散には厳格な要件が設けられており、イギリスでも2011年から2022年まで固定任期議会法により解散権が制限されていました。日本でも政治学者や法学者の間では、解散権の濫用を防ぐための制度設計について議論が続けられています。
今回の調査結果は、与野党の憲法論議にも影響を与える可能性があります。野党各党はこれまでも解散権の制限を主張してきましたが、与党内でも慎重な議論が求められる状況となりそうです。専門家からは、解散権の制限方法として、不信任案可決時以外の解散禁止期間の設定や、解散理由の明示義務化などの案が提示されています。
憲法改正の議論が活発化する中で、解散権の在り方についても国民的な議論が深まることが予想されます。政府与党は国民世論の動向を注視しながら、今後の憲法論議の進め方を検討していくものとみられます。
