日本の「安全なAI」システム、新興国・途上国展開へ
デジタル庁が行政用AI独自システムを開発し、新興国や途上国への提供を検討している。安全性を重視した日本独自のAI技術の海外展開が本格化する。
デジタル庁は、行政業務に特化した独自のAIシステムの開発を進めており、完成後は新興国や途上国への提供を検討していることが関係者への取材で明らかになった。このシステムは「安全なAI」をコンセプトに、透明性と説明可能性を重視した設計となっている。
開発中のシステムは、住民サービスや行政手続きの効率化を目的としており、個人情報の保護機能を強化している点が特徴となっている。従来の海外製AIシステムと異なり、日本の法制度や文化的背景を考慮した独自の安全基準を採用している。業界関係者によると、システムの基本設計は今年度中に完了予定とされている。
背景には、AI技術の急速な普及に伴う安全性への懸念がある。欧米の大手IT企業が開発するAIシステムが世界的に広がる中、日本政府は独自の価値観を反映したAI技術の確立を目指している。特に、ブラックボックス化されやすいAIの判断プロセスを可視化する技術開発に力を入れている。
新興国・途上国への展開については、政府開発援助(ODA)の枠組みを活用することが検討されている。対象国は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国やアフリカ諸国を中心に、約30カ国程度が想定されているとみられる。技術提供と併せて、運用に必要な人材育成支援も行う方針という。
国内では、すでに複数の地方自治体で試験運用が始まっており、住民からの問い合わせ対応や各種申請処理の自動化で一定の効果が確認されている。専門家は、海外展開により日本のAI技術の国際的な地位向上と、デジタル分野での外交影響力強化が期待されると分析している。
今後は、国際機関との連携強化や技術標準の国際化も視野に入れている。デジタル庁では、2027年度からの本格的な海外展開開始を目標に、関係省庁や民間企業との協議を加速させる方針で、日本発の「信頼できるAI」が国際社会でどのような評価を得るかが注目される。
