高市首相は5日、ベトナムとオーストラリアへの公式訪問を終えて帰国の途につきました。今回の歴訪では、両国との間で重要物資の供給網(サプライチェーン)確保に向けた協力体制の構築について協議が行われたとみられます。
ベトナム訪問では、レアアース等の重要鉱物資源の安定調達について議題に上がったと報道されています。ベトナムは世界第2位のレアアース埋蔵量を誇る国として知られており、半導体製造に不可欠な材料の供給源として注目されています。関係者によると、日本企業による現地での採掘・精製事業への参画についても話し合われた模様です。
オーストラリア訪問では、アルバニージー首相主催の夕食会も開催され、両国の経済連携について幅広い意見交換が行われました。オーストラリアは日本にとって鉄鉱石や石炭の主要供給国であり、近年は水素エネルギー分野での協力も進んでいます。今回の会談では、クリーンエネルギー分野での新たな協力枠組みについても協議されたとみられます。
両国歴訪の背景には、中国への過度な依存からの脱却を図る「経済安全保障」の観点があります。日本政府は2023年に策定した経済安全保障戦略において、重要物資の調達先多様化を重要課題として位置づけており、今回の訪問もその一環と位置づけられています。
供給網の多様化は、製造業を中心とした日本経済にとって喫緊の課題となっています。業界関係者は、今回の合意により、半導体や電池材料などの戦略物資について、より安定した調達体制が構築される可能性があると指摘しています。
今後、両国との間で具体的な協力案件の詳細が詰められる見通しです。政府関係者によると、民間企業の投資促進に向けた政策金融面での支援策についても検討が進められており、年内にも具体的な支援スキームが発表される可能性があるとしています。今回の歴訪が、日本の経済安全保障戦略の実現に向けた重要な一歩となるかが注目されます。
