政府は連休明けの5月7日から、人工知能(AI)「源内」を活用した答弁作成の実証実験を開始することが分かりました。対象となるのは中央省庁の職員約18万人で、国会答弁や各種会議資料の作成業務においてAIによる支援を検証します。
AI「源内」は、政府が独自に開発を進めてきた行政業務特化型の生成AIシステムです。過去の国会答弁データや法令、政府方針などの膨大な情報を学習しており、質問に対して適切な答弁案を自動生成する機能を持っています。江戸時代の発明家・平賀源内にちなんで命名されたとみられます。
実証実験では、各省庁の政策立案部門や国会対応部門を中心に、職員がAIを活用した答弁作成を試行します。従来は職員が数時間から数日かけて作成していた答弁原稿を、AIが数分で初稿を生成し、職員がそれを検証・修正する流れを想定しています。実験期間は約3か月間を予定しており、効果測定や課題抽出を行います。
政府のデジタル化推進の一環として、行政業務の効率化は重要な課題となっています。特に国会対応業務では、質問通告から答弁作成までの時間が限られる中で、職員の長時間労働が常態化している現状があります。AI活用により、こうした業務負担の軽減と質の向上の両立が期待されています。
一方で、AIが生成する答弁の精度や適切性の確保、機密情報の取り扱い、最終的な責任の所在など、解決すべき課題も指摘されています。実証実験では、これらの課題についても詳細な検証が行われる予定です。
諸外国でも行政分野でのAI活用は進んでおり、シンガポールや英国などでは既に類似のシステムが導入されています。日本政府としては、今回の実証実験の結果を踏まえ、2026年度内にも本格運用への移行を検討する方針とみられます。行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、AI「源内」の成果が今後の政府業務の在り方を大きく左右する可能性があります。
