欧州連合(EU)は現地時間5月7日、人工知能(AI)規制法の修正案について暫定合意に達したと発表しました。この修正により、AIを使用した性的な偽画像(ディープフェイク)の生成が2026年12月1日から正式に禁止されることになります。
今回の修正案は、既存のAI法に新たな規制項目を追加するもので、特に同意なく作成された性的なディープフェイク画像や動画の生成を重点的に規制対象としています。違反した場合、個人に対しては最大5万ユーロ(約800万円)、企業に対しては年間売上高の最大4%または2000万ユーロ(約32億円)のいずれか高い方の制裁金が科せられる予定です。
背景には、近年のAI技術の急速な発達により、リアルな偽画像の生成が容易になったことがあります。特に女性の被害が深刻化しており、業界関係者によると、オンライン上の偽画像の約9割が女性を対象としているとみられます。これらの画像は本人の同意なく作成・拡散され、深刻な人権侵害や精神的被害をもたらしているとされています。
EUのデジタル政策担当部門は、この規制により悪意のあるディープフェイク技術の使用を大幅に抑制できると期待しています。ただし、芸術的表現や研究目的での利用については、一定の条件下で例外措置が設けられる見通しです。また、AI開発企業に対しては、違法コンテンツの生成を防ぐための技術的な対策を講じることが義務付けられます。
この規制は、世界的なAI規制の動向にも大きな影響を与える可能性があります。すでに米国や日本などでも類似の規制検討が進んでおり、専門家からは「EUの決定が国際的なスタンダード形成の起点になる」との見方が示されています。
修正案は今後、EU理事会と欧州議会での正式な承認手続きを経て、12月1日の施行に向けた準備が進められます。AI関連企業は、新たな規制要件への対応準備を急ぐ必要があり、業界全体でのガイドライン策定も検討されています。今後は他の地域でも同様の規制強化が進むとみられ、AI技術の倫理的な利用に向けた国際的な枠組み構築が加速する見通しです。
