聴覚障害のある子どもたちへの教育手法として注目される「バイリンガルろう教育」について、その効果を科学的に検証する国内初の大規模調査が2026年5月から開始されることが分かりました。手話と音声言語の両方を用いた教育手法のエビデンス構築を目的とした研究で、全国約20の教育機関が参加予定とみられます。
バイリンガルろう教育は、手話を第一言語、日本語を第二言語として位置づけ、両言語を用いて学習を進める教育手法です。欧米諸国では1990年代から導入が進んでいますが、日本国内では限られた教育機関での実践に留まっているのが現状です。文部科学省の統計によると、特別支援学校(聴覚障害)に在籍する児童生徒数は全国で約3,800人とされています。
今回の調査は、3年間にわたって実施される予定で、バイリンガルろう教育を受けた児童生徒の学習成果を、従来の教育手法を受けた児童生徒と比較検証します。評価項目には言語能力の発達、学習理解度、社会性の育成などが含まれ、定期的な測定を通じて教育効果を数値化していく方針です。
関係者によると、これまで国内でのバイリンガルろう教育の効果については、個別事例での報告は存在するものの、大規模かつ長期的な調査は実施されていませんでした。今回の研究により、科学的根拠に基づいた教育手法の評価が可能になるとみられます。また、調査結果は将来的な特別支援教育の指導要領改訂の参考資料としても活用される見通しです。
一方で、調査の実施にあたっては、参加する児童生徒や保護者への十分な説明と同意が必要となります。また、手話通訳者や専門教員の確保、評価基準の統一化など、解決すべき課題も多く指摘されています。研究チームでは、これらの課題に対応するため、関連団体との連携を密にしながら調査を進める方針を示しています。
今回の大規模調査により得られるエビデンスは、日本の聴覚障害教育の質的向上に大きく寄与することが期待されます。調査結果の中間報告は2027年秋頃、最終報告は2029年春頃に公表される予定で、その成果は国内外の特別支援教育関係者から注目を集めそうです。
