高市早苗首相が肝いりで進める裁量労働制の見直しが本格化していることが11日、関係者への取材で分かった。現行制度の課題を検証しつつ、これまでの働き方改革の成果を損なわない慎重な制度設計が焦点となっている。
現在の裁量労働制は、専門業務型と企画業務型の2種類があり、労働時間を実労働時間ではなく事前に労使で定めた時間とみなして処理する仕組みとなっている。厚生労働省の調査によると、2023年時点で裁量労働制を適用している企業は全体の約4.2%にとどまっており、制度の普及が限定的な状況が続いている。
今回の見直しでは、対象業務の拡大や手続きの簡素化などが検討課題として挙がっているとみられる。一方で、長時間労働の温床となるリスクも指摘されており、2018年に成立した働き方改革関連法で導入された時間外労働の上限規制との整合性をどう図るかが重要なポイントとなっている。
労働政策に詳しい専門家は、制度見直しにあたって労働者の健康確保と企業の生産性向上の両立が不可欠だと指摘している。特に、みなし労働時間の設定方法や健康確保措置の強化について、労使双方が納得できる仕組みづくりが求められるとの見方が強い。
政府は今後、労働政策審議会での議論を経て、来年の通常国会での法案提出を目指す方針とみられる。ただし、野党側は労働者保護の観点から慎重な姿勢を示しており、国会審議では丁寧な説明が必要となりそうだ。働き方の多様化が進む中、制度見直しが労働環境の改善にどうつながるかが注目される。
