インドのナレンドラ・モディ首相は12日、燃料費の削減と外貨節約を目的として、国民に対し在宅勤務の推進と海外旅行の自粛を要請したと報じられています。この措置は、世界的な原油価格の高騰とインド経済への影響を軽減するための緊急対応策とみられています。
インドは世界第3位の石油消費国であり、原油需要の約85%を輸入に依存している状況です。2024年度のインドの原油輸入額は推計で約1500億ドル規模に達しており、貿易収支に大きな影響を与えています。在宅勤務の推進により通勤による燃料消費を削減し、海外旅行の自粛により外貨流出を抑制する狙いがあるとみられます。
インド政府は昨年から燃料価格の安定化に向けた取り組みを強化しており、代替エネルギーの導入促進や公共交通機関の利用推奨などの政策を実施してきました。今回の在宅勤務推進は、新型コロナウイルス流行時の経験を活かした新たな節約策として位置づけられています。
業界関係者によると、インドのIT関連企業では既に在宅勤務制度が定着しており、今回の要請により他業種への拡大が期待されています。一方で、製造業や小売業などでは在宅勤務の実施が困難な職種も多く、実際の効果は業界によって差が生じる可能性があります。
海外旅行の自粛要請については、インドの中間層の海外旅行需要が近年急速に拡大していた背景があります。観光業界への影響は避けられないものの、政府は国内観光の促進により代替需要の創出を図る方針とされています。
今回の措置により、インド経済への短期的な影響軽減は期待される一方で、長期的な経済成長への影響については慎重な見方もあります。モディ政権は今後数か月間の状況を注視し、必要に応じて追加的な経済対策の検討も視野に入れているとみられます。
