政府は2026年度から、霞が関の中央省庁に勤務する約18万人の職員を対象に、AI(人工知能)システムの本格的な導入を開始することが明らかになりました。国会答弁の作成支援や統計データの分析業務を中心に、AIによる業務効率化を図り、職員がより高度な政策立案に集中できる環境の整備を目指します。
今回導入されるAIシステムは、主に3つの機能を持つとみられます。第一に国会答弁作成支援機能で、過去の答弁データベースと最新の政策情報を組み合わせ、質問内容に応じた答弁案を自動生成します。第二に統計分析機能では、各省庁が保有する大量のデータを横断的に分析し、政策効果の検証や将来予測を行います。第三にドキュメント管理機能により、法令や通達の検索・整理を効率化します。
デジタル庁によると、現在霞が関では職員の業務時間の約30%が定型的な事務作業に費やされているとの推計があります。AIシステムの導入により、この割合を15%程度まで削減することを目標としています。特に国会対応業務では、答弁作成にかかる時間を従来の半分程度に短縮できる見込みとしています。
導入に向けた予算は、システム開発費と運用費を合わせて年間約200億円規模となる見通しです。2026年度は試験的に主要5省庁での運用を開始し、2027年度には全省庁への展開を完了させる計画となっています。セキュリティ面では、機密情報の取り扱いに配慮した専用システムを構築し、外部ネットワークから完全に分離した環境で運用する方針です。
一方で、AI導入に伴う課題も指摘されています。業界関係者は、AIが作成した答弁や分析結果の品質管理体制の構築が重要だと指摘しています。また、職員のAIリテラシー向上のための研修体制の整備も急務とされています。労働組合からは、業務効率化による人員削減への懸念の声も上がっているとされます。
諸外国でも行政分野でのAI活用は進んでおり、エストニアでは既に行政手続きの99%がオンライン化され、AIによる自動処理が導入されています。シンガポールでも政策立案支援AIシステムが稼働しており、日本の取り組みは国際的な潮流に沿ったものと言えます。今回の大規模導入により、日本の行政効率化がどの程度進展するか、その成果が注目されています。
