AI需要でメモリー不足が深刻化、半導体各社の株価に明暗
生成AI技術の急速な普及により高性能メモリーの需要が急増し、供給不足が深刻化している。半導体メーカーと製造装置メーカーの株価に明暗が分かれている。
生成AI(人工知能)技術の急速な普及により、高性能メモリーの需要が世界的に急増し、供給不足が深刻化していることが明らかになった。この状況を受けて、半導体業界では製品を手がける企業と製造装置を提供する企業の株価に明暗が分かれる展開となっている。
特に需要が集中しているのは、AIの学習や推論処理に必要な高帯域幅メモリー(HBM)と呼ばれる次世代メモリーだ。従来のメモリーと比較して処理速度が大幅に向上する一方、製造工程が複雑で生産に時間を要するため、需要の急増に供給が追いつかない状況が続いている。業界関係者によると、現在の納期は通常の3倍以上に延びているとみられる。
この需給ひっ迫を背景に、メモリー製品を手がける半導体メーカーの株価は上昇傾向を示している。特に韓国系企業や一部の日本企業では、AI向けメモリーの受注増加により業績改善期待が高まっている。市場では、メモリー価格の上昇が今後数四半期にわたって続く可能性が高いとの見方が広がっている。
一方で、半導体製造装置メーカーの株価は軟調な動きを見せている。メモリー不足により、データセンター事業者やAI関連企業が新規設備投資を一時的に見合わせるケースが増加しているためだ。また、既存の製造ラインの稼働率向上を優先する動きも、新規装置需要の減少要因となっている。
AI技術の発展に伴い、メモリー以外の半導体部品にも影響が波及している。GPU(グラフィック処理装置)やAI専用チップの需要も堅調な一方、これらの製品に組み込まれるメモリー不足により、完成品の出荷に遅れが生じているケースも報告されている。サプライチェーン全体での調整が課題となっている。
業界関係者は、メモリー不足の解消には少なくとも12~18か月程度を要するとの見方を示している。各社は生産能力の拡大に向けた投資を進めているが、新しい生産ラインの立ち上げには相当の時間を要するためだ。短期的には価格上昇と供給不足が続く一方、中長期的には生産体制の拡充により需給バランスの改善が期待される。AI市場の成長とともに、半導体業界の構造変化も加速していくものとみられる。
