ラトビア首相が辞任表明、ウクライナ無人機墜落が引き金に
ラトビアのシルマヘ首相が辞任を表明しました。ウクライナ軍の無人機がラトビア領内に墜落した事件への対応が批判を受けたことが背景にあるとみられます。
バルト三国の一つであるラトビアのシルマヘ首相が5月15日、辞任する意向を表明しました。辞任の背景には、先月発生したウクライナ軍の無人機がラトビア領内に墜落した事件への政府対応に対する批判の高まりがあるとみられています。
問題となった事件は4月中旬に発生し、ロシアとの国境から約20キロメートル離れたラトビア東部の農村地帯にウクライナ軍が運用する偵察用無人機が墜落しました。墜落による人的被害は報告されていませんが、NATO加盟国であるラトビア領内への軍事機器の墜落として、安全保障上の重大な問題とみなされました。
シルマヘ首相率いる政権は当初、事件について「技術的なトラブルによる偶発的な事故」として処理する方針を示していました。しかし、野党や国民からは「NATO諸国間の軍事協調に関する重要事項について、国会への報告が遅れた」「近隣諸国との情報共有体制に不備があった」として批判が集中していました。
ラトビアは人口約190万人の小国ながら、ロシアと約270キロメートルの国境を接し、ウクライナ紛争の影響を直接受ける立場にあります。同国はGDP比で約2.3%の国防費を支出しており、NATO諸国の中でも高い水準となっています。また、ウクライナへの軍事支援も積極的に行ってきた経緯があります。
今回の辞任表明により、ラトビア議会では新たな首相選出に向けた協議が開始される見込みです。現在の連立政権は中道右派の「新統一」を中心とした3党連立となっていますが、政権の枠組みが維持されるかは不透明な状況です。関係者によると、連立各党は政権継続に向けた調整を進めているものの、野党は早期の総選挙実施を求める可能性もあります。
バルト諸国では近年、ロシアとの緊張関係やウクライナ支援を巡る政治的対立が各国の内政に影響を与えるケースが増加しています。今回のラトビア政治危機も、欧州の安全保障環境の変化が小国政治に与える影響の一例として注目されており、今後のNATO東欧諸国の結束にも影響を与える可能性があります。
