派遣会社の半数、AI普及で事業縮小検討
業界団体の調査により、派遣会社の約半数がAI技術の普及により事業縮小を検討していることが明らかになりました。人材派遣業界の構造変化が加速しています。
人材派遣業界団体が実施した最新調査により、派遣会社の約半数がAI(人工知能)技術の普及に伴う事業縮小を検討していることが18日、明らかになりました。生成AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の急速な導入により、従来派遣スタッフが担ってきた業務の自動化が進んでいることが主な要因とされています。
調査は2026年3月から4月にかけて実施され、全国の人材派遣会社約1,200社を対象に行われました。回答した企業のうち、52%が「今後2年以内に事業規模の縮小を検討している」と回答し、特に事務処理やデータ入力を中心とした派遣事業への影響が深刻であることが浮き彫りになりました。
最も影響を受けているのは一般事務分野で、調査対象企業の78%が「需要の大幅な減少」を報告しています。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、請求書処理、データ入力、簡単な資料作成などの業務がAIツールに置き換えられるケースが急増しているためです。コールセンター業務についても、AIチャットボットの高度化により派遣需要が減少傾向にあります。
一方で、AI技術を活用した新しいサービス展開に取り組む派遣会社も増加しています。調査では約35%の企業が「AIスキルを持つ人材の派遣事業」や「AI導入支援サービス」への転換を進めていると回答しました。プログラミング、データ分析、AI運用管理などの専門性の高い人材への需要は堅調に推移しており、これらの分野では時給単価も上昇傾向にあります。
業界関係者は、派遣会社の二極化が今後さらに進むとの見方を示しています。従来型の単純業務中心の派遣会社は事業継続が困難になる一方、高度なスキルを持つ人材の育成・派遣や、AI技術を活用した付加価値の高いサービスを提供する企業は成長機会を見込めるとされています。
厚生労働省の統計によると、2025年度の派遣労働者数は前年度比で約8%減少しており、AI普及の影響が数値にも表れ始めています。特に事務系職種の派遣労働者数は2年連続で二桁の減少率を記録しており、業界の構造変化は既に現実のものとなっています。
今後の人材派遣業界は、AI時代に対応した事業モデルの転換が生き残りの鍵となりそうです。単純作業の派遣から脱却し、AI技術と人間の協働を支援する高付加価値サービスへの転換が求められる中、業界全体での人材育成投資や新たなビジネスモデルの構築が急務となっています。
