議員立法「内密出産法案」を国会提出、匿名出産の制度化へ
超党派の議員連盟が匿名での出産を可能にする「内密出産法案」を国会に提出しました。母子の安全確保と子どもの出自を知る権利の両立が焦点となっています。
超党派の議員連盟は20日、女性が匿名で出産できる制度を創設する「内密出産法案」を国会に提出しました。この法案は、望まない妊娠や様々な事情で身元を明かせない女性が、安全な医療環境で出産できる仕組みを法制化するものです。
内密出産制度は、ドイツやフランスなど欧州諸国では既に導入されており、母親の身元情報を医療機関が管理し、一定期間経過後に子どもが出自を知ることができる仕組みとなっています。日本では熊本市の慈恵病院が2019年から独自に「内密出産」を実施しており、これまでに報道ベースで5件程度の事例があるとされています。
提出された法案では、指定された医療機関において、母親の身元情報を第三者機関が厳重に管理し、子どもが成人後に開示請求できる制度設計となっています。また、母子の健康管理や相談支援体制の整備も盛り込まれており、単なる匿名出産にとどまらない包括的な支援制度を目指しています。
一方で、この制度をめぐっては課題も指摘されています。子どもの出自を知る権利との兼ね合いや、制度の悪用防止策、医療機関への負担増加などが懸念事項として挙げられています。また、根本的な解決策として、妊娠・出産に関する相談支援体制の充実や、社会全体での理解促進が重要との指摘もあります。
厚生労働省の統計によると、日本では年間約3万件の人工妊娠中絶が行われており、そのうち一定数は経済的・社会的理由によるものとされています。内密出産制度は、こうした状況下で母子の生命と安全を守る選択肢の一つとして位置づけられています。
法案の審議では、制度の具体的な運用方法や対象となる医療機関の要件、費用負担のあり方などが議論される見通しです。与野党からは慎重な検討が必要との声が上がっており、専門家や当事者団体からの意見聴取も予定されています。今後の国会審議を通じて、日本における内密出産制度の法制化に向けた議論が本格化することになります。
