与野党は28日、選挙におけるSNS規制の強化を目指した法案の検討を本格的に開始したと発表しました。高市早苗首相が自民党総裁として主導する形で進められており、特にAI技術を活用して作成されたコンテンツについて、その旨を明示することを義務づける方針が示されています。
この法案検討の背景には、近年急速に発達した生成AI技術による選挙への影響が懸念されていることがあります。AIによって作成された画像や動画、音声などが選挙活動で使用される場合、有権者が真偽を判断することが困難になるケースが想定されており、選挙の公正性確保が課題となっていました。
法案の骨子として検討されているのは、選挙期間中にSNSで発信するコンテンツのうち、AI技術によって生成された部分について「AI作成」などの表示を義務づけることです。対象となるのは候補者や政党のアカウントだけでなく、選挙運動に関わる第三者の投稿も含まれる見通しです。違反した場合の罰則についても今後検討される予定です。
政府関係者によると、この規制は2024年の諸外国での選挙において、AI生成コンテンツによる偽情報の拡散が問題となった事例を参考にしているとみられます。欧州連合(EU)では既に類似の規制が導入されており、アメリカでも州レベルで同様の法整備が進んでいることから、日本でも対応が急務とされていました。
一方で、表現の自由や技術革新への影響を懸念する声もあります。業界関係者からは、AI技術の定義や判定基準が曖昧であることや、技術の進歩に法規制が追いつかない可能性について指摘されています。また、中小企業や個人での選挙活動におけるコスト負担の増加も課題として挙げられています。
与野党は今後、有識者や技術専門家からの意見聴取を重ねながら、法案の詳細な内容を詰めていく方針です。早ければ来年の通常国会での法案提出を目指しており、次期衆議院選挙での適用も視野に入れているとみられます。デジタル技術と民主主義の両立という新たな課題への対応として、今後の議論の行方が注目されます。
