選挙期間中のSNS適正化について、政府与党内で具体的な対策の検討が進んでいることが29日、関係者への取材で分かりました。これまで選挙期間外での対応が中心だったSNS上の誹謗中傷や偽情報への規制について、選挙期間中も含めた包括的な対策の必要性が指摘されています。
現在の公職選挙法では、インターネットを利用した選挙運動について一定の規制がありますが、SNS上での第三者による誹謗中傷や偽情報の拡散については、迅速な対応が困難な状況が続いています。総務省の調査によると、2023年の統一地方選挙期間中に報告されたSNS上での選挙関連の問題投稿は、前回選挙時と比較して約1.5倍に増加したとみられています。
与党内では、選挙期間中のSNS監視体制の強化や、プラットフォーム事業者との連携強化などが議論されています。具体的には、選挙管理委員会とSNS運営会社との間で、問題投稿の迅速な削除要請ができる仕組みの構築が検討課題となっています。ただし、表現の自由との兼ね合いについて慎重な議論が必要との声も上がっています。
海外では、選挙期間中のSNS規制について先行事例があります。欧州連合では2022年にデジタルサービス法が施行され、大手プラットフォームに対して偽情報対策の強化が義務付けられています。また、米国でも2020年大統領選挙以降、各SNS事業者が独自の選挙関連投稿の監視体制を強化している状況です。
一方で、業界関係者からは技術的な課題も指摘されています。選挙期間中は短期間で大量の投稿が行われるため、人工知能による自動検知システムの精度向上や、人的な審査体制の拡充が必要とされています。特に地方選挙では候補者数が多く、全国一律の基準での対応が困難な場合もあるとの見方もあります。
政府は来年の参議院議員通常選挙を見据えて、年内にもSNS適正化に関する具体的なガイドラインの策定を目指すとみられます。選挙の公正性確保と表現の自由のバランスを取りながら、デジタル時代に対応した選挙制度の整備が急務となっています。
