SNS適正化、選挙期間中も継続実施へ 総務省が方針
総務省がSNSでの選挙に関する不適切な投稿への対策を選挙期間中も継続する方針を固めました。従来は選挙期間中の規制強化は見送られていましたが、近年の中傷動画問題などを受けて転換を図ります。
総務省は29日、SNS上での選挙に関する不適切な投稿への対策を選挙期間中も継続して実施する方針を固めました。これまで選挙期間中は表現の自由への配慮から規制強化を控える傾向にありましたが、近年の候補者への中傷動画拡散問題や偽情報の流布を受けて、政策転換を図る考えです。
現行制度では、SNS事業者に対する要請は主に平時に行われ、選挙期間中の対応は各事業者の自主的な判断に委ねられていました。しかし、2024年の衆院選や2025年の統一地方選では、特定候補者を標的とした中傷動画が大量に投稿される事例が相次ぎ、選挙の公正性を脅かす事態となっていました。
総務省の検討案によると、選挙期間中でもSNS事業者に対して不適切投稿の迅速な削除要請を行うほか、AI技術を活用した自動検知システムの導入も促進する方針です。また、虚偽情報や誹謗中傷に該当する投稿については、従来よりも短時間での対応を求める仕組みの構築を目指しています。
一方で、表現の自由との兼ね合いを慎重に検討する必要があるとの指摘も出ています。憲法学の専門家からは、選挙期間中の規制強化が政治的言論の萎縮を招く可能性があると懸念する声も上がっており、運用面での細かなガイドライン策定が急務となっています。
背景には、SNSを利用した選挙運動が一般化する中で、プラットフォームを悪用した選挙妨害行為が深刻化している現状があります。総務省の調査では、2025年の統一地方選期間中にSNS関連の選挙違反として報告された案件は推計で前回比約40%増加したとされています。
各SNS事業者も対策強化を進めており、主要プラットフォームでは選挙期間中の専用窓口設置や、政治関連投稿への注意喚起表示などの取り組みが本格化しています。業界関係者によると、技術面でのさらなる改善も検討されているとみられます。
今後、総務省は6月中にも関係者との協議を開始し、次回の国政選挙までに新たなガイドラインを策定する予定です。デジタル時代の選挙における公正性確保と表現の自由のバランスをどう取るかが、重要な課題として注目されています。
