総務省が9日発表した家計調査によると、2026年1-5月期の家計における米の消費額が月平均2,847円となり、パンの2,634円を12年ぶりに上回ったことが分かりました。米がパンの消費額を上回るのは2014年以来で、食料品価格の高騰が消費者の購買行動に影響を与えている実態が浮き彫りになりました。
背景には小麦価格の継続的な上昇があります。ウクライナ情勢の長期化や異常気象による世界的な小麦供給不安により、製パン用小麦の輸入価格は2024年から高止まりが続いています。これを受けて大手製パン会社は相次いで値上げを実施し、食パン1斤あたりの平均価格は前年同期比で約15%上昇したとみられます。
一方、米の価格は相対的に安定しています。2025年産米の作況指数は全国平均で102の「やや良」となったほか、政府による米の需給調整策も価格安定に寄与しているとみられます。家計調査では、米の購入量自体も前年同期比で8.3%増加しており、価格面での優位性から消費者が米を選択する傾向が強まっています。
年代別の分析では、この傾向は特に50代以上の世帯で顕著となっています。食費を抑制したい家計において、主食をパンから米に切り替える動きが広がっているとみられます。また、在宅勤務の定着により自宅での食事機会が増えたことも、調理しやすい米への回帰を後押ししている可能性があります。
食料品全体の消費動向を見ると、家計の食料費は月平均79,234円と前年同期比4.2%増加しました。物価上昇が家計を圧迫する中、消費者は価格と栄養バランスを考慮した食材選択を行っている実態が伺えます。特に基礎的な食材である主食選びにおいて、経済性を重視する傾向が鮮明になっています。
今後の見通しについて、農林水産省関係者は「世界的な穀物価格の動向や為替相場の影響を注視する必要がある」としています。小麦価格の高騰が続けば、米への需要シフトがさらに進む可能性があり、日本の食文化や農業政策にも長期的な影響を与える可能性があります。消費者の家計防衛意識が高まる中、主食の選択基準の変化は今後も続くとみられます。
