医療事故報告、5月までに3816件 院内調査完了は88.8%
日本医療安全調査機構は、2026年5月までに累計3816件の医療事故が報告され、うち88.8%で院内調査が完了したと発表しました。
日本医療安全調査機構は10日、医療事故調査制度に基づく事故報告の最新状況を公表しました。2026年5月末までに累計3816件の医療事故が報告され、そのうち88.8%にあたる3390件で院内調査が完了していることが明らかになりました。
医療事故調査制度は2015年10月に開始された制度で、医療機関において予期しなかった死亡等が発生した場合に、当該医療機関が院内調査を実施し、その結果を同機構に報告することが義務付けられています。今回の報告により、制度開始から約10年8か月で約3800件の事故が蓄積されたことになります。
報告された事故の内訳を見ると、病院からの報告が全体の約95%を占め、診療所からの報告は約5%となっています。診療科別では外科、内科、整形外科の順で報告件数が多く、これらの科で全体の約半数を占めているとみられます。
院内調査の完了率88.8%という数字について、医療安全の専門家は「制度開始当初と比較すると、各医療機関での調査体制が整備されてきている」と評価しています。一方で、残り11.2%にあたる426件については調査が継続中であり、複雑な事例や外部専門家の協力が必要なケースが含まれているとみられます。
同機構では、収集した事例を分析し、再発防止に向けた提言や注意喚起を定期的に発信しています。これまでに「中心静脈カテーテル挿入時の合併症」「薬剤の誤投与」「術後管理における注意点」など、複数のテーマについて医療現場への情報提供を行っています。
医療事故調査制度をめぐっては、報告対象となる「予期しなかった死亡」の判断基準について医療機関によって解釈に差があることや、遺族への説明のあり方について課題が指摘されています。同機構では制度の運用改善に向けた検討を継続しており、より効果的な再発防止策の構築を目指しています。
今後、高齢化の進展に伴い医療需要の増加が見込まれる中、医療安全の確保はより重要性を増すとみられます。同機構は引き続き事例の収集・分析を通じて、医療の質と安全性の向上に貢献していく方針です。
