高齢者医療費窓口負担拡大「避けて通れない課題」上野厚労相が言及
上野厚生労働相が高齢者の医療費窓口負担拡大について「避けて通れない検討課題」との認識を示しました。急速な高齢化と医療費増大が背景にあります。
上野厚生労働相は12日、高齢者の医療費窓口負担拡大について「避けて通れない検討課題」との認識を示しました。急速に進む人口高齢化と医療費の増大を背景に、持続可能な医療保険制度の構築に向けた議論が本格化する可能性が高まっています。
現在、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担は原則1割となっていますが、2022年10月からは一定所得以上の人については2割負担が導入されています。厚生労働省の統計によると、2割負担の対象となっているのは後期高齢者全体の約20%とみられており、残り約80%は依然として1割負担となっています。
医療費の動向を見ると、国民医療費は年々増加傾向にあり、2022年度は45兆円を超える水準に達しています。このうち65歳以上の高齢者にかかる医療費が全体の約6割を占めており、今後も高齢化の進展に伴って医療費の増加が続くとみられています。
医療保険制度の財政状況も厳しさを増しています。後期高齢者医療制度では、患者負担を除いた医療費の約5割を公費(税金)、約4割を現役世代の保険料、約1割を高齢者の保険料で賄う仕組みとなっていますが、現役世代の人口減少により制度維持が困難になるとの指摘が専門家から出ています。
一方で、高齢者の窓口負担拡大については慎重な意見も多くあります。年金収入に依存する高齢者の家計への影響や、負担増による受診控えで重篤な疾患の発見が遅れるリスクなどが懸念されているためです。業界関係者からは、負担拡大と同時に予防医療の充実や医療の効率化を進める必要があるとの声も上がっています。
政府は今後、社会保障審議会などで具体的な制度見直しの議論を進める方針です。窓口負担の拡大幅や対象範囲、実施時期などについて慎重に検討が行われるとみられ、国民の理解を得ながら段階的な改革が進められる可能性があります。医療保険制度の持続可能性確保と国民負担のバランスをどう取るかが、今後の重要な政策課題となりそうです。
