個人情報保護法改正案に医療データ専門家が「最悪」と異例の警告
政府が進める個人情報保護法の改正案について、医療データの専門家が「最悪の案」と異例の厳しい指摘を行った。AI活用が進む中、医療データの取り扱いをめぐる議論が激化している。
政府が検討を進めている個人情報保護法の改正案について、医療データを専門とする研究者が「最悪の案」と異例の厳しい指摘を行ったことが14日、明らかになった。AI技術の発展に伴い医療分野でのデータ活用が期待される一方で、患者のプライバシー保護との両立をめぐって専門家の間で懸念が広がっている。
改正案では、医療機関が保有する診療データについて、一定の条件下で患者の同意を得ずに研究や公衆衛生目的での利用を可能とする内容が盛り込まれているとみられる。これに対し、医療データの専門家は「患者の知る権利や自己決定権が軽視されている」と強く批判している。
現行の個人情報保護法では、医療データのような要配慮個人情報の取り扱いには本人の明示的な同意が原則として必要とされている。しかし、AI技術を活用した医療研究の推進や、パンデミック対応などの公衆衛生政策の実効性向上を目的として、政府は規制緩和の必要性を指摘してきた経緯がある。
医療AI分野では近年、大規模なデータセットを活用した診断支援システムや創薬研究が急速に進展している。厚生労働省の統計によると、2025年度には医療AI関連の市場規模が前年比約30%増加したと推計されており、データ活用の重要性が高まっている状況にある。
一方で、医療データの不適切な利用による患者のプライバシー侵害リスクも指摘されている。海外では医療データの商業利用をめぐって訴訟に発展したケースもあり、慎重な制度設計が求められている。業界関係者は「技術革新と患者保護のバランスを取ることが極めて重要」との見解を示している。
政府は今夏にも改正案の詳細を公表し、パブリックコメントを実施する予定としている。医療関係団体や患者団体からの意見聴取も予定されており、制度設計をめぐる議論は今後さらに活発化するとみられる。AI時代における個人情報保護の在り方を問う重要な局面を迎えている。
