AI・半導体など成長分野に「特別枠」予算 高市首相が複数年度計画を表明
高市首相は2026年6月24日、AI・半導体をはじめとする成長分野の予算に「特別枠」を設ける方針を表明。概算要求の上限を設けない複数年度計画として推進する意向を示した。
高市早苗首相は2026年6月24日、人工知能(AI)や半導体といった戦略的成長分野の予算編成において「特別枠」を設ける方針を正式に表明しました。この特別枠は通常の概算要求における上限(シーリング)を適用しない形で運用され、複数年度にわたる計画的な投資を可能にする仕組みとして設計されるとみられます。政府関係者によれば、単年度予算の制約にとらわれない中長期的な資金供給体制の構築が主な狙いとのことです。
日本の半導体産業をめぐっては、近年の地政学的リスクの高まりや米中対立を背景に、国内製造基盤の強化が急務とされてきました。熊本県へのTSMC工場誘致をはじめ、政府はこれまでも大規模な補助金投入を行ってきましたが、予算の単年度主義が投資計画の継続性を妨げるとの指摘が業界関係者の間で繰り返されてきた経緯があります。今回の「特別枠」創設は、そうした課題への制度的な対応として位置づけられています。
AI分野においても、日本はグローバルな競争環境の中で出遅れが懸念されています。大規模言語モデル(LLM)の開発や、それを支える計算インフラ(データセンター・GPU資源)への投資において、米国や中国との差は依然として大きいとみられています。政府はAI戦略の一環として国内大手IT企業や研究機関への支援を強化してきましたが、複数年度にわたる安定した予算措置がなければ民間投資の呼び水効果は限定的との見方が、関係する専門家の間で共有されています。
今回の方針は、2026年度補正予算や2027年度概算要求の編成プロセスに直接影響するものとみられます。特別枠の対象分野にはAI・半導体に加え、量子コンピューティングやバイオテクノロジーなども含まれる可能性が報道ベースで伝えられており、「経済安全保障上の重要技術」と位置づけられる分野を横断的にカバーする枠組みとなる見込みです。ただし、具体的な予算規模や対象範囲については、今後の与党内協議を経て詳細が固まるものとみられます。
財政規律との兼ね合いも課題として浮上しています。概算要求の上限を設けないという仕組みは、各省庁が競合して予算要求を膨らませるリスクをはらんでいるとの見方も一部にあります。政府はこうした懸念に対し、厳格な事業評価や成果指標(KPI)の設定によってガバナンスを確保する方向で制度設計を進めるとみられています。
今後の見通しとしては、高市首相が同日表明した内容をもとに、与党の政調・財政委員会での議論が本格化するとみられます。夏以降の概算要求に向けて各省庁が動き出す中、特別枠の運用ルールや優先度付けの基準をどう定めるかが焦点になりそうです。日本の産業競争力強化に向けた予算制度改革の試みとして、国内外の関係者から注目が集まっています。
