70歳以上の医療費窓口負担引き上げへ、自民が年度末までに改革工程表の策定方針
自民党が70歳以上を対象とした医療費の窓口負担増を検討していることが明らかになった。年度末までに改革工程表を策定する方針で、高齢者の医療費負担のあり方が大きく見直される可能性がある。
自民党が70歳以上の高齢者を対象とした医療費の窓口負担引き上げを検討していることが報じられています。同党は2026年度末までに医療費負担に関する改革工程表を策定する方針を示しており、日本維新の会との間でも議論が進んでいるとされています。少子高齢化が加速するなかで、医療保険財政の持続可能性をどう確保するかという問題意識が背景にあります。
現行制度では、70歳以上75歳未満の方は所得に応じて医療費の窓口負担が2割または3割となっており、75歳以上の後期高齢者については原則1割(現役並み所得者は3割、一定以上所得者は2割)が適用されています。今回の議論では、この負担割合をさらに見直す方向性が示されており、具体的な引き上げ幅や対象範囲については今後の工程表策定のなかで詳細が固められる見通しです。
日本の医療費総額は年間約46兆円(厚生労働省の直近推計ベース)に上るとされており、そのうち高齢者医療費が大きな割合を占めています。後期高齢者医療制度の財政は、現役世代からの支援金と公費(税金)によって大部分が賄われており、現役世代の負担が増大していることが長年の課題となっています。医療費の自己負担増は、財政の均衡を図るための選択肢の一つとして専門家や行政の間で継続的に議論されてきました。
一方で、窓口負担の引き上げに対しては高齢者や医療・福祉関係者からの懸念も根強くあります。負担増により受診を控える高齢者が増えた場合、重症化リスクが高まるという指摘も業界関係者から上がっています。また、年金収入のみで生活する低所得の高齢者層への影響も大きいとみられており、所得に応じたきめ細かな制度設計が求められます。実際、2022年に導入された後期高齢者の2割負担制度においても、導入当初は受診控えへの懸念が広く議論されました。
なお、厚生労働省は2026年8月から後期高齢者医療の資格確認書の運用に関して新たな取り扱いを始めることも発表しており、医療制度全体が大きな転換期を迎えつつあります。マイナンバーカードを活用した医療DX推進と並行して、給付と負担のバランスを問い直す動きが加速しています。
今後は、年度末に向けた工程表の策定プロセスのなかで、負担増の具体的な水準・対象・時期について議論が本格化するとみられます。与党内での調整に加え、野党や医療関係団体との意見交換も必要となるため、制度改正の最終的な姿が固まるまでにはなお時間を要する可能性があります。高齢者医療の持続可能性と現役世代の負担軽減をどう両立させるか、今後の政策論議の行方が注目されます。
