高市首相がインドへ出発、経済安保で連携強化へ 対中国を念頭に
高市早苗首相は2日、就任後初となるインド訪問に向けて出発しました。経済安全保障や半導体サプライチェーンの強化を中心に、インドとの戦略的連携を深める方針です。
高市早苗首相は2026年7月2日、就任後初となるインド公式訪問に向けて政府専用機で出発しました。今回の訪問では、経済安全保障、半導体・重要鉱物のサプライチェーン強化、デジタルインフラ協力などが主要議題として取り上げられる見通しです。インドはGDP成長率が年7%前後で推移するとみられる世界最大規模の成長市場であり、日本にとって対中国依存を分散させる上で戦略的に重要なパートナーと位置づけられています。
今回の訪問の背景には、中国を念頭に置いた「経済安全保障の多角化」という日本政府の方針があります。日本は近年、半導体や希少金属(レアアース)の調達において中国への依存度が高く、その脆弱性が安全保障上のリスクとして指摘されてきました。インドは豊富な人材・資源を有し、「チャイナ・プラスワン」の戦略的代替地として世界的に注目を集めており、日本企業の進出件数もここ数年で増加傾向にあるとされています。
経済協力の面では、日本がインドに対してこれまで官民合わせて多額のインフラ投資を行ってきた実績があります。ムンバイ・アーメダバード間の高速鉄道(新幹線方式)プロジェクトをはじめ、製造業や物流分野でも協力関係が積み上げられてきました。今回の首脳会談では、こうした既存の協力関係を土台としながら、半導体や人工知能(AI)関連技術の共同開発・研究に向けた新たな枠組みの構築が議論される可能性が高いとみられます。
安全保障面では、日本・米国・オーストラリア・インドの4か国による安全保障対話枠組み「クアッド(Quad)」における連携強化も重要な焦点となります。近年、中国による南シナ海・東シナ海での海洋進出や、台湾周辺での軍事的活動が活発化していることを踏まえ、インド太平洋地域の「自由で開かれた秩序」の維持に向けた協調を改めて確認する場となる見通しです。
高市首相は自民党総裁選以来、経済安全保障政策を政権の中核に据えており、今回のインド訪問もその延長線上にある外交戦略として位置づけられています。首相はこれまでの国内演説の中でも、特定国への依存集中リスクを分散し、信頼できる国々とのサプライチェーンを構築することの重要性を繰り返し強調してきました。
専門家の間では、日印関係の強化が中長期的に日本の経済・安保両面において有益な効果をもたらすとの見方がある一方、インドが米中いずれにも偏らない「戦略的自律」を外交の基本方針としているため、対中牽制の枠組みへの過度な引き込みには慎重な対応が求められるとの指摘もあります。
今後の展望としては、今回の首脳会談を通じて日印間の経済安全保障に関する協定や覚書の締結が期待されており、その内容次第では日本国内の半導体関連産業や重要鉱物確保の動向に影響を与えるとみられます。参院選を控えた政治日程の中で、高市政権がこの訪問をどのような外交成果として国内に示すかが注目されます。訪問の詳細日程や合意内容については、現地からの報告が入り次第、随時お伝えしていきます。
